トップチームから女子代表まで8世代にわたる「侍ジャパン」には、共通認識として『結束』というキーワードがある。「世界一」という目標に向かって全員が統率され、同じ目線に立つ。それが日本の強さであり最大の武器。だが、言葉で言うほど簡単ではない。U-18代表が、本当のチームとなるまでの過程を探った。 取材・文=岡本朋祐、写真=早浪章弘 
日の丸を背負い、悲願の「世界一」を目指すU-18代表はカナダ・サンダーベイで、10日間で最大9試合という過密日程を消化する
百戦錬磨の指揮官に働いた“嗅覚”
高校球児のピークは、言うまでもなく夏である。地方大会、甲子園での戦いを終えると、3年生の活動は一区切りとなる。入学から約2年5カ月、張り詰めた空気から解放されるのは無理もない。だが、侍ジャパンU-18代表に選出された3年生18人(今大会は2年生2人選出)は“引退を撤回”する必要があった。毎年のことだがもう一度、モチベーションを最高地点に上げていくのは、言葉で言うほど簡単な作業ではない。
国内合宿は8月22日から千葉県内でスタートし、20人全員がそろったのは25日夜。今夏の甲子園で優勝した花咲徳栄高の右腕・
清水達也、同準優勝の広陵高の強肩強打捕手・
中村奨成は26日の練習試合(対日大)から本格合流した。ようやく“形”となったこの日、4対6で敗れた試合後、小枝守監督は警鐘を鳴らした。
「仲良しクラブは終わって、ゲームに対する厳しさを出そう、と」
全国約16万人の部員から選出された精鋭20人。各校から寄せ集められた急造チームだが「世界一」という目標が明確であり、しかも意識の高い集団である、チームが一つにまとまるのに時間はかからなかった。
2年前の前回大会(準優勝)を1年生として唯一、経験している主将・
清宮幸太郎(早実)への信頼は絶大だった。小枝監督の考えを理解して、選手へ的確に伝達。まさしく体現者の姿勢に、24日の公式記者会見で、指揮官は「どちらが監督か分からない」と最大級の言葉を使ったほどだ。
しかし、この段階では本当の意味での・・・
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