原爆投下によって焦土と化した広島の地に1949年、復興のシンボルとして「広島カープ」が誕生した。プロ野球で唯一の市民球団は長い苦難の時期を経て、1975年についに初優勝を遂げ、広島の街は歓喜と涙に包まれた。あれから、およそ半世紀。プロ野球誕生90年を迎えるまで、優勝は9回。そのすべてのシーズンを振り返る。 【1975/1979/1980】はこちら 【2016/2017/2018】はこちら 抑えで活躍した小林誠も選手たちの手で胴上げされた
古葉カープの集大成
2連覇を飾り、黄金時代を築くと思われた広島だが、
江夏豊の放出が裏目となってか3年連続のV逸。1984年は
古葉竹識監督にとって10年目、まさに背水の陣で迎えたシーズンだった。しかし開幕3戦目から一気の12連勝で波に乗った。5月からは
中日の追い上げもあり、首位を奪われて前半戦は2位ターン。それでも9月には背番号0を着けた
長嶋清幸が
巨人戦で2試合連続サヨナラ弾を放つなど勢いを増し、4年ぶりの優勝を果たした。
この年は四番に座る
山本浩二と並ぶもう一人の雄・
衣笠祥雄の活躍が際立った。プロ20年目にして初の3割をマークし(.329)、31本塁打に102打点で打点王に輝いてMVPを獲得。山本は健在、
山崎隆造、
高橋慶彦の一、二番コンビが塁上をかき回し、ルーキーの
小早川毅彦も新人王を手にしたが、打線以上に頼りになったのはチーム防御率3.37の投手陣だった。勝ち頭は
山根和夫で16勝、
北別府学が13勝、
大野豊が10勝、
川口和久が8勝、そして抑えにはこの年に
西武から戻ってきた
小林誠二が途中から君臨し、魔球パームボールを武器に11勝9セーブを挙げた。
日本シリーズは9年前に完敗に終わった阪急に華麗なるリベンジ。オフには・・・
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