4年ぶりの優勝を果たしたチームにあって、阿部慎之助監督の柔軟かつ大胆な采配は語り落とせない。そのひとつは言うまでもなく「捕手3人制」。巨人で戦後初の捕手出身監督の戦略・戦術において重要な一翼を担った3人の捕手たちが、歓喜の舞台裏を語り尽くす。 取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、BBM ※年齢は2024年の満年齢 優勝までの道程
“捕手の視点”が阿部慎之助監督の大きな強みのひとつだったことは間違いない。当然、捕手の運用にもそれは反映される。「1人に固定できれば、それに越したことはない」と言いながらも「捕手3人制」で投手陣を支えることができたのは、「それぞれが持ち味を発揮してくれれば、逆に投手にとっては3倍の力になる」という確固たる信念があったからだ。そして、小林誠司、大城卓三、岸田行倫という3人の捕手たちは、それぞれの個性を発揮することで“化学反応”を引き起こし、指揮官の思いを体現してみせた。 ──東京ドームでの優勝セレモニーが終わり、あらためて優勝の実感というのは湧いてきているでしょうか。
小林 (2人を見回しながら)誰からしゃべる? キシ(岸田)だな。
岸田 え? 僕ですか!?
大城 最年少なんだから。
岸田 じゃあ僕から。リーグ優勝が決まってから少し日がたって、またようやく実感が湧いてきたというか。優勝するためにこの1年間、やってきたので、本当に良かったという気持ちと、うれしい気持ちと、ちょっとホッとした感じが出てきているところです。
大城 素直にうれしい気持ちと……うれしいです。
小林 そうだね(笑)。うれしいね。
──マジックが点灯してから優勝に到達するまでのチームの雰囲気というのはいかがでしたか。
大城 マジックが点灯してからも、ベテランの方たちが真っ先に大きな声を出してくれて……。
小林 声、小さくない? それじゃICレコーダーに音が入らないよ(笑)。
大城 (動じずそのままの声量で)ベテランの方たちが率先して元気な雰囲気というのをつくってくれていたので、若手や僕たちもその雰囲気に乗せてもらっていくというような感じで。いい雰囲気の中で選手たちは最後までやることができたなと思います。
岸田 僕は緊張もしましたよ。目の前の試合は全力でやっていたんですけど、マジックが点灯して優勝が近づくにつれて・・・
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