野球の華であるホームラン。最高の1本を打つために打者は一心不乱にバットを振り込む。その積み重ねがファンの夢を呼ぶ。長い歴史で積み重ねられてきたホームランを振り返っていく。プロ野球90年の歴史で本塁打にまつわる名場面は多数あったが、厳選した代表的なシーンをお見せしよう。 文=キタトシオ ※2024年7月1日号『あの日、あのとき、あの場所で』より再編集 1986年6月26日 巨人対阪神 12回戦(後楽園) 
この年のバースは前年に続いて2年連続三冠王。最終的なシーズン打率.389はいまだにNPB記録だ
バースの存在は「信仰」に近い?
「バースの再来」。阪神に主砲候補の新外国人選手が入団すると、マスコミやファンはしばしば期待を込めてこの言葉を使う。
「バース」とは言うまでもない、「史上最強の助っ人」と評される活躍を見せ、昨年野球殿堂入りを果たした
ランディ・バースのことである。
だが、考えてみればこれは不思議な言葉だ。バースがプレーしたのは1983年から88年まで。はるか昭和の昔である。同時期に活躍した外国人選手には、例えば
クロマティ(巨人)や
ブーマー(阪急ほか)がいるが「クロマティの再来」、「ブーマーの再来」といった言葉はあまり聞かない。また阪神にはバース以降も
オマリーや
マートン、
マウロ・ゴメスといった打撃タイトルを獲得した外国人選手がいる。にもかかわらず、取りざたされるのは常にバースなのだ。
バースは「神様」とも呼ばれたが、その存在は時代や「助っ人」の枠を超え、もはや信仰の対象に近い。
そのバースも、83年に来日した当初はそれほど目立った存在ではなかった。同僚だった
岡田彰布によれば・・・
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