2024年の広島は9月の失速で4位に沈んだものの、8月までは粘り強く、接戦の展開を制し、一時は首位に立つ戦いを見せた。投手陣が奮闘した一方、シーズンを通して課題を残したのは得点力不足。チーム打率.238は今季のセ・リーグ最下位、52本塁打は12球団ワースト。ともに、球団として過去10年で最低の数字である。25年、7年ぶりのペナント奪還を成し遂げるためには、打線の奮起が欠かせない。捲土重来を誓う、打撃強化の“核心”に迫った。
変わっていかなければならない――。2024年シーズンを総括して、決意を込めた新井貴浩監督。体制3年目においてチームに求められる“変化”とは。 文=前原淳 写真=BBM 
2024年シーズン最終戦となった10月5日のヤクルト戦[マツダ広島]の後、ファンを前に来季への決意を述べた新井監督
慢性的な得点力不足
チーム再建に近道はない。就任2年目を終えた新井貴浩監督は、チームづくりの分岐点に立っている。現有戦力を最大限に生かして結果を求めつつ、一定の時間をかけながら若手の育成を待った。
1年目から、目立った戦力補強がない中で4年連続Bクラスのチームを2位へと押し上げ、就任2年目の今年は9月4日まで首位を守った。特に攻撃陣は昨オフに
西川龍馬がFAで
オリックスへ移籍。長打力が期待された両外国人野手が開幕早々に離脱した。
小園海斗を四番に起用するなど、打線の機能性を高めるやりくりで少ない好機をものにしてきたが、慢性的な得点力不足は改善されなかった。
勝負どころのシーズン終盤に弱さを露呈した。投手陣に疲労の色が見える9月、セ・リーグ球団が軒並み1試合平均得点を上げる中、広島だけが唯一、8月までの1試合平均得点3.00点から2.44点に下げた。シーズンを通して攻撃陣をカバーしてきた投手陣の踏ん張りも限界だった。
8月までリーグトップのチーム防御率2.25に対し、9月の月間防御率はリーグワースト4.29。投手力で僅差の試合をものにしてきたチームが接戦を落とし、負の連鎖に拍車をかけた。リーグワーストタイの月間20敗。優勝はおろか・・・
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