宗山は名門・広陵高を率いた高校時代から3年後、明大では新たなキャプテン像を築いた。120人に及ぶ大所帯を、同じ方向に導いたキャプテンシー。背番号10の主将・宗山が指名した副将が、1年間を振り返る。 取材・構成=壁井裕貴 
4年秋。宗山に明らかな「変化」があった。自らが活躍しても常に冷静だったプレースタイルから、適時打を放つと、一塁上でガッツポーズを見せた。そこには同級生からの助言があった。写真は早大2回戦の同点適時打[写真=矢野寿明]
立大戦敗退後の提案
昨秋まで率いた田中武宏監督によると主将・
宗山塁は1年前から決まっており、副将の人選を任された。捕手の中山琉唯(常総学院高)、外野手の飯森太慈(佼成学園高)、直井宏路(桐光学園高)の3人を指名。中山は副将就任まで、実はほとんど話したことがなかったという。同じキャンパスのため、一度だけ授業が一緒で、少し会話した程度。すれ違えば、あいさつをするぐらいだった。1年春から出場してきた宗山の一方で、中山は2年秋まで下積みの日々。4年春にリーグ戦初出場という遅咲きの選手である。
「3年間、ほとんど話したことがなかったので、副将に選出されたときは本当にビックリしました。なぜ、選んだのか、本人には聞いていませんが、私以外の2人は、外野手だったので、バランス的に捕手の私が選ばれたのかなと。宗山はプレー同様、淡々とした性格だろうと思っていました。でも、初めて集まった幹部だけの会議で『熱い男』だと分かりました。明大野球部は、約120人もいる大所帯です。私は全員を同じ方向に向かわせるのは難しいだろうと思っていましたが、『一人も違う方向に向かわせたくない。全員を同じ方向に向かわせる』と、宗山は真剣に語っていた。誰よりもチームのことを考え、勝利に対してどん欲。こんなにも強い思いを秘めていることにビックリしたことを覚えています」
意外な一面を知った中山。だが、プレーだけではその思いは伝わりにくいのではないか、と普段は感情を出さない宗山の「はじけた姿を見てみたい」。その思いを伝えたのは、4年秋の立大2回戦だった。
「立大1回戦で負けた後、私が宗山に『感情を出していこうぜ!』と伝えました。宗山の内に秘めた闘志を表に出してほしいな、と。絶対に士気が上がる! ただ・・・
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