宗山は昨年のドラフトで最多5球団が1位競合の末、楽天に入団した。1年目で新人王獲得への期待が膨らむが、歴史をさかのぼると、大卒遊撃手の新人王(社会人経由を除く)は2人のみである。宗山は3人目に名を連ねることができるか? ここでは往年の大卒遊撃手をお届けする。 燦然と輝く廣岡&京田の偉業
1950年から表彰されている最優秀新人(新人王)を獲得したのは、昨年の時点で140人。うち、野手は44人で、遊撃手に限ると10人しかいない。さらに、そのうち「大卒1年目の遊撃手」(社会人経由を除く)に限定すると1954年の廣岡達朗(早大→巨人)、2017年の
京田陽太(日大→
中日、現
DeNA)の2人だけというのが現実である。大卒1年目の遊撃手がプロで早々に活躍するのは、それほどハードルが高い。
54年の廣岡は112試合に出場し、打率.314(リーグ6位)、15本塁打、67打点、9盗塁。新人王はもちろんのこと、ベストナインにも選出された。打率.314は98年に
坪井智哉(東芝→
阪神)が.327で更新するまで長年、2リーグ制後の新人記録だった(現在は2021年に中大→DeNA・
牧秀悟が打率.3141で.3137の廣岡を4毛上回る2位となり、廣岡は3位)。
廣岡は66年まで実働13年の現役生活を送っているが、打率3割を残したのは、このルーキーイヤーだけだった。同世代の阪神・
吉田義男と並んでセ・リーグを代表する遊撃手としてスター街道を歩んだが、打撃成績については意外な数字が並ぶ。打率2割5分を上回ったのも13年で54年と55年(打率.257)、58年(打率.277)。「投高打低」の時代背景もあり、通算打率は.240だった。それでも優雅な守備力は「絹糸のようだ」と評され、ファンからの人気は絶大だった。
巨人をけん引した廣岡から63年後。日大からドラフト2位で中日に入団した京田も新人年に突出した成績を残した。
開幕戦となった3月31日の巨人戦(東京ドーム)に「七番・遊撃手」としてスタメン出場するなど、前年までの遊撃のレギュラーだった
堂上直倫から定位置を奪った。チームの143試合中140試合においてショートを守り、そのうち134試合が先発出場して主力を任された。この年のセ・リーグの新人選手で唯一規定打席に到達(打率.264)し、セ・リーグの新人としては58年の
長嶋茂雄(立大→巨人)に次ぐ歴代2位のシーズン149安打を達成したことが高く評価され(現在は2019年の阪神・
近本光司、21年のDeNA・牧に抜かされて、セ・リーグ歴代4位)、セ・リーグの新人王に選出された。
一生に一度しかチャンスがない新人王は、運に左右されやすい、と言われる。同じタイミングで活躍した選手が同リーグにいることもあれば、自身の本格的なブレークが新人王資格の喪失後、というケースもある。
山下と平田は2年目以降に定位置奪取
ここからは「新人王は獲れなかったが、大卒で長く活躍した遊撃手」を紹介しよう。
まずは慶大のプリンス・
山下大輔(大洋)。慶大では1年秋から正遊撃手となり、2年秋からの慶大史上初の・・・
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