2022年の就任以降、派手なパフォーマンスや突飛な言葉で野球界をにぎわせてきた新庄監督。しかし、エンターテインメント性に特化した言動に隠れがちだが、現役時代から培ってきたプロ野球選手としての信念は非常にシンプルだ。そんな指揮官の野球哲学がチームに浸透することで若手が成長、日本一を狙える集団へと変貌してきた。 写真=高原由佳 新庄剛志がプロ野球チームの監督になったら──。就任4年目の春。開花目前。それを沖縄・名護キャンプでの初の対外試合で、実感することになった。
2月11日。
楽天との練習試合が行われた。楽天のキャンプ地、金武へ乗り込んでの試合。まだ、試合勘が戻っていないはずの野手陣が打ちまくった。投手有利とされる時期に、しめて15安打だ。
一番打者の
五十幡亮汰が2打数2安打。クリーンアップは三番・
清宮幸太郎が4打数4安打、四番・
野村佑希が5打数2安打、五番・
万波中正が3打数2安打。七番・
郡司裕也も1打数1安打、九番・
水野達稀は5打数3安打、代打で途中出場の
今川優馬も1安打を放った。
まさに新庄チルドレンとも呼べる選手たちのヒットパレード。その内容を見てみると、ファーストストライクをとらえたのが9安打。積極的に好球を振りにいった姿勢が如実に表れていた。
ファーストストライクを振れという、新庄監督からの指示だったのだろうか。試合後に指揮官は「いやいやいや。八木(
八木裕)コーチが指示したかもしれないし」と否定。清宮幸も首脳陣からの指示は「特にない」とし、続けて「いつも僕はそうなんで。どんどん、いってます」と体に染み込んだ打撃姿勢であることを話した。
この意識を持っている選手が多いからこそ、早いカウントから積極的に仕掛けられる。初の対外試合だから、ではなく、この意識はシーズンに入っても大事な要素。だから、キャンプ中の準備期間でできなければ、本番の開幕を迎えても実行して成功させる確率は低くなるのだ。
チームに植え付けた「準備」の意識
3年前の2022年春。この意識を徹底的にチーム内に植え付けたのが就任1年目、登録名「BIGBOSS」の新庄監督だった。
キャンプ初日の打撃練習から、初球を打つように指示をした。実戦が始まっても同様。新庄体制初の対外試合となった2月8日の
阪神との練習試合(宜野座)では・・・
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