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2025ドラフト特集 ドラフト最前線【社会人編】

<JABA東京スポニチ大会>川原嗣貴、尾崎完太、真城翔大、高橋隆慶 成長示した実力者

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日本選手権の出場権をかけた東京スポニチ大会は、参加15チームが熱き戦いを繰り広げた。ひと冬を越えて新たな姿でアピールしたのは、もちろん、ENEOS野手三人衆だけではない。勝利と夢を同時に追う4選手もまた躍動した。
文=大平明 写真=BBM

Honda鈴鹿・川原嗣貴[投手]/かわはら・しき●2004年6月30日生まれ。兵庫県出身。189cm96kg。右投左打。[甲]大阪桐蔭高-Honda鈴鹿[3年目]


指名漏れからの変化


 川原嗣貴は大阪桐蔭高時代、センバツ優勝に貢献。プロ志望届を提出するも、指名はなかった。Honda鈴鹿に入社して3年目となり「夢が目標に変わり、今はその目標に向かっている道中です」と語る。社会人になってから体重は13kg増。球速も昨年6月に自己最速を更新する152キロをマークした。

「真っすぐを投げるときは、リリースの瞬間にゼロから100になるイメージで指先にすべての力を集中させています。この冬はストレートの強さにこだわりながら、右打者のアウトロー、左打者のインローに10球を投げたら、10球とも同じ場所へ投げられるように練習してきました」

 変化球もスライダー、カットボール、ツーシーム、スプリット、チェンジアップ、カーブと多彩。3月のJABA東京スポニチ大会では鷺宮製作所との予選リーグ初戦で先発を任された。寒さと味方のエラーもあり初回に4点を奪われたが、その後は粘りの投球。7回途中5失点(自責点4)でまとめた。「昨年までなら気持ちが切れて、ズルズルといってしまったのですが、下を向いたら示しが付かないので前を向いて投げました。立ち直ることができたのが一番の収穫です」。潜在能力の高さに加えて、精神面も成長してきている。

「プロへ行きたい一心で、このオフは体力を強化してきました」と話すのはセガサミーの151キロ左腕・尾崎完太だ。

「ランメニューや体幹トレーニングを例年よりも増やし、基礎から鍛え直してきたのですが、ベース板を通るときのボールの強さが変わってきました」

 変化球はスライダー、カットボール、カーブが持ち球だが、新たにチェンジアップとツーシームを習得している。「昨年の11月から練習をしてきたのですが、かなり手応えを感じていて、変化球でも三振が取れるようになりました。これまで速球と変化球の割合は8対2くらいだったのが、6対4くらいになっています」。

 投球フォームも修正してきた。「二段モーションだったのですが、ムダな動きが多かったのでシンプルに足を上げて投げるようにしています」。同大会では予選リーグ2戦目のJFE東日本戦で先発し、4回2失点(自責点1)でまとめ、まずまずの滑り出しを見せた。

「大学では指名漏れを経験しているので、何がなんでも今年はプロへ行きたい。そのためにも練習を継続して、しっかりと準備をしておきたいと思います」

 まずは、チームを2年ぶりの都市対抗出場へと導くことに専念する。

セガサミー・尾崎完太[投手]/おざき・かんた●2001年4月20日生まれ。大阪府出身。175cm76kg。左投左打。滋賀学園高-法大-セガサミー[2年目]


投打に結果を残す


 真城翔大は天理大4年時の全日本野球選手権1回戦(対西南学院大)で、大会史上8人目のノーヒットノーランを達成した右腕。昨年入社したJR西日本でも、1年目から先発の一角として活躍している。球種はカーブ、カットボール、横のスライダー、縦のスライダー、フォーク、チェンジアップと豊富。真っすぐの最速は昨年10月に記録した145キロである。「速くはないのですが、泳がせたり、打者のタイミングをずらしたりすることを意識しています」と変化球とのコンビネーションは抜群だ。

 オフシーズンはストレートのスピードアップを目指してきた。「パワーを出すためにメディシンボールを使って、いろいろなトレーニングをしてきたのですが、ファウルや空振りが多くなってきました」。同大会予選リーグのHonda鈴鹿戦でも6回からの3イニングを投げて5奪三振。交代直後は四球を出したものの、続く2人は130キロ台ながらキレのある真っすぐで、2者連続での空振り三振。7回も2者連続で見逃し三振を奪うなど、無失点に抑えた。

 今後については「プロを目指しつつ、同時に今のチームの戦力にならなければいけないと考えています。球速を含めて全体的にレベルアップしていければ」と話している。

JR西日本・真城翔大[投手]/ましろ・しょうだい●2001年6月2日生まれ。高知県出身。178cm80kg。右投左打。[甲]高知商高-天理大-JR西日本[2年目]


 JR東日本・高橋隆慶は右の長距離砲。同大会ではNTT西日本、トヨタ自動車東日本との予選リーグ戦で2本の左越えアーチを放った。「今季はソフトバンク近藤健介選手を参考にして、力感なく振っても強い打球が飛ばせるように、体の中心に力を込めて体幹を使ってスイングするように心掛けています」

 冬は右方向への打撃も練習してきた。「引っ張った打球ばかりだとピッチャーも攻めやすくなると思うので、フリー打撃では逆方向にも長打を飛ばせるように意識して打ち込んできました。今大会ではヒットにはならなかったのですが、ライトにも良い打球を飛ばせたと思います」。

 守備では昨シーズンの開幕当初から三塁に挑戦しており、「まだほかの選手に劣るところがありますが、経験が浅いわりには良くなってきていると思います」。昨年9月に行われたU-23W杯では五番・三塁で起用され、最優秀守備選手に選出され、自信を深めている。大学時代はプロよりも社会人野球を見る機会が多かったそうで「あこがれていた都市対抗で優勝し、会社に貢献してからプロの世界を狙っていきたい」と今年は2つの夢を一気に叶えるつもりだ。

JR東日本・高橋隆慶[内野手]/たかはし・たかのり●2001年12月21日生まれ。茨城県出身。186cm94kg。右投右打。明秀日立高-中大-JR東日本[2年目]


 社会人の高卒選手は入社3年目、大卒選手は入社2年目がドラフト解禁。都市対抗、日本選手権の二大大会の出場権もかかる公式戦も次々に始まる。自身の夢を追いかけながらも、チームの勝利を追求していく。

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