打線が活発なチームが多く、試合終了まで目が離せない展開が多かった2009年夏の甲子園。見る者を興奮させた熱戦の日々を振り返る。 写真=BBM ※記録は発刊時の2014年現在 
まさに「ノーサイド」。決勝は両校ナインが力を出し尽くした末、中京大中京が夏7度目の優勝を手にした。観衆を含め、その瞬間、甲子園にいたすべての人が充足感、幸福感をかみしめていた
この年からストライクゾーンが変更となり、「ボールの一部がヒザ頭下部を通過していればストライク」という解釈に変わった。その結果、三振が654個を数え、記念大会だった90回大会(54試合)の590を大きく上回った。逆に411個だった四死球は303と激減している。
しかし、09年夏の試合内容を振り返ると、打線が活発なチームが上位を占めたほか、どの試合も終盤まで目の離せない「点の取り合い」が多かった。そして、その代表ともいえる試合が決勝の中京大中京-日本文理だった。
中京大中京の大黒柱は、エース兼四番の
堂林翔太。春は甲子園ベスト8に進んだが、報徳学園(兵庫)に9回、勝ち越しの2点を奪われ逆転負けした。この試合を糧に、夏の日本一を誓ったはずが、愛知県大会から甲子園を通じて本来の出来とはいえなかった。6回以降をパーフェクトに抑えた甲子園の準々決勝・都城商高戦でようやく「自分本来のピッチングができた」と顔をほころばせたが、決勝では大事な局面で制球が乱れ、胴上げ投手にはなれなかった。
マウンドの堂林を助けたのは、2回に先制弾を放った彼自身のバットであり、強力な味方打線だった。スタメン9人のうち、打率4割以上が実に4人。そのうち5割超えは堂林、そして三番の
河合完治で、河合は28塁打の大会新記録をマークした。五番・
磯村嘉孝は2本塁打、八番の金山篤未も打率4割台と、まったく切れ目のない打線は他校の投手にとっては驚異だった。
その中京大中京と決勝で対戦し、9回、二死から5得点を奪った日本文理は、まさに歴史に残る・・・
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