熱き最終決戦が火蓋を切った。リーグ3位からCSを突破したDeNAは下剋上での26年ぶりとなる頂点を目指すが、相まみえるパの覇者・ソフトバンクも、4年ぶりの日本一奪還へ目の色を変える。10月26日に横浜スタジアムで幕を開けた日本シリーズ。第1、2戦から互いの意地がぶつかり合った。 ソフトバンク先発・有原が無難な立ち上がりを見せると、2回には自ら2点適時打を放ち、“本職”でも7回4安打無失点の安定感
大きかった“+1点”
よもやの形で試合が動く。互いに先手を取りたい第1戦。DeNAはアンドレ・
ジャクソン、ソフトバンクは
有原航平が先発マウンドに上がると初回はともに無失点。先に先制機をつくったのがソフトバンクだった。2回表一死から制球がやや定まらぬジャクソンから
栗原陵矢が四球を選ぶと、二死後に
牧原大成が左翼線へ二塁打を放って二、三塁に。打席には八番・
甲斐拓也が向かうも、DeNA・
三浦大輔監督は、次打者が投手の有原とあって「確率の高い選択」と申告敬遠に迷いはなかった。
ペナントレースでは打席に立たぬパの投手に加え、守りの面でも塁を埋めて封殺を奪いやすくする──。“満塁策”は定石だ。だが、有原がカウント1-1からの153キロの直球を一、二塁間へはじき返す。打球は右翼前へ転がると、右翼手・
梶原昂希のファンブルもあって二走・牧原大も生還。スコアボードに『H』と『E』ランプが灯ったが、のちに失策は取り消され、記録は有原の2点適時打に。
「バットに当たれば何が起こるか分からないですし、いいところにヒットを打たれました」と話す三浦監督にとって策に悔いはない。ただ、記録上のミスが消えたとはいえ、投手が打席に立っての外野が前進守備を敷いた中で二者生還の“+1点”が大きくのしかかっていく。
3回以降、ジャクソンはチェンジアップを効果的に使って鷹打線を翻弄。5回二死から二番手・
中川颯につなぎ、救援陣も追加点を与えず。だが、DeNA打線も有原の多彩な変化球をとらえられず本塁が遠い。
次の1点が流れを左右しかねぬ状況で、得点を奪ったのはソフトバンクだった。9回表一死一、二塁から
今宮健太が右翼後方へ飛球を放つと、代走に出ていた二走・
川村友斗が安打と判断してスタートを切り生還。ほぼ同時に抜群の判断で快足を飛ばしていた一走・
周東佑京も続けて生還した。
その後は追加点を奪えなかった打線も、9回表に一死一、二塁から今宮が右越二塁打を放つ
一走・周東が抜群の判断で長駆生還し、二死後に栗原の適時打で5点差に
“+1点”は相手の返球のミスも誘って打者走者・今宮は三塁へ。この進塁も二死後の栗原陵矢の適時打で生き、“+1点”がさらに“+1点”を呼んだ。貪欲に次の塁へ──。
走塁の姿勢が生んだ得点差は守りを楽にする。9回裏、DeNAは相手クローザーの
ロベルト・オスナを攻めて3点を奪うも反攻及ばず。積み重なった5点の差は大きかった。
森の適時打で3点を奪って粘りを見せるも及ばなかった
エースが投打で躍動し、そつのない野球を展開したソフトバンクが白星発進。よもやの決勝打での幕開けとなった頂上決戦だが、
小久保裕紀監督は「3つ負けられるのが日本シリーズ」と、どっしり構える。パの王者が走塁の意識でも強さを示し、4年ぶりの日本一へ先手を取った。
■2024日本シリーズ第1戦 @横浜スタジアム ■10月26日(土) ◆試合開始18時33分(試合時間3時間46分)◆観衆3万3147人