ついに幕を開けたプレミア12。2019年の前回大会、21年東京五輪、23年WBCに続く世界大会4連覇を目指す侍ジャパンは、オープニングラウンドのグループBで4連勝を飾って東京ドームでのスーパーラウンド進出を決めた。オープニングラウンド第4戦までの戦いを振り返る。 写真=毛受亮介、牛島寿人 ※試合開始時間は日本時間 ※18日の試合でドミニカ共和国に勝利し、1位通過を決めた。 【プレミア12 オープニングラウンド REVIEW 3戦&4戦】はこちら 【第1戦】日本 9-3 オーストラリア
“怖さ”味わいながら“らしさ”を見せる
井端監督[右]はプレミア12の初陣を飾った
侍ジャパンのオープニングゲームのみバンテリン開催という変則スケジュールでのスタートとなる中、日本のファンにしっかりと勝利を届けた。
いかに1点をもぎ取るか。相手のレベルを問わず国際大会においては常に突きつけられる課題だが、
井端弘和監督が「各打者が次につなげることを考えてくれた」と振り返ったとおり、四球を含めた相手のミスにもつけ込み、序盤から効果的に得点を重ねることに成功。4回までに適時打なしで5点を奪ってみせた。
一方で国際大会における“怖さ”も味わった。初の侍の舞台ながら5回まで3安打8奪三振、無失点と快投を続けていた
井上温大が6回、先頭のボヤースキにバックスリーン左へと運ばれる。続くバザナに右前打を許して
横山陸人にスイッチしたものの、二死二塁から今度はウィングローブにバックスクリーンへの2ランを許して、あっという間に2点差まで迫られた。
指揮官は「いくら点を取ってもホームランで点差が縮まるのが国際試合」と嘆息したが、「取れるところで取れたのはよかった」と言葉を続けたように、7回には一死三塁から
牧秀悟の適時打が飛び出し、8回にも
森下翔太、
栗原陵矢の連続適時二塁打で突き放した。
2点差で迎えた7回に牧が相手を突き放す適時打。指揮官も「大きかった」とたたえた
四番を任された森下はチャンスメークに仕上げ役に3安打の奮迅の活躍
オーストラリアは12投手をつぎ込む奇策とも言える継投策に打って出たが、攻撃陣が惑わされることなく対応できたことは大きな収穫だろう。投手陣も、一発は浴びたものの「初戦は大事な試合と感じていたので、形は悪くても試合をつくろうと思っていた」という井上から計5投手で16奪三振。
藤平尚真をはじめ侍としての経験が浅い中継ぎ陣が存分に自らの力を発揮できたのも大きい。
先発の井上は5回まで無失点の好投で試合をつくった
井端監督は「正直ホッとしている。どんな点差でも勝てばいいと思っていた」と安どの表情で試合を振り返ったものの、国際大会の“怖さ”をかみしめながら投打に持ち味をしっかりと発揮することができた、上々のスタートだった。
■2024.11.13@バンテリンドーム □試合開始=19時00分 □試合時間=3時間13分 □入場者=30,691人
■打撃成績 ※△は左打ち
【第2戦】日本 6-3 韓国
逆転に次ぐ逆転でライバルを突き放す
やはり簡単な戦いにはならなかった。舞台を台湾に移して最初の相手は、2015年の第1回プレミア12覇者にして日本にとって永遠のライバルである韓国。先発の
高橋宏斗は「韓国戦は絶対に負けてはいけない、というのは自分の中にもある」と意気込んでいたが、その思いが空回ってしまったかもしれない。
直球のスピード、スプリットのキレは申し分なかったものの、要所でコースが甘くなり、2回に先制を許すと、2対1と逆転して迎えた4回には同点ソロを浴びる。結局、4回7安打2失点でマウンドを降りることになると、5回からあとを受けた
隅田知一郎もいきなり勝ち越し点を献上してしまった。
だが、チームとして慌てることはなかった。戦前から井端弘和監督が語っていた「たとえ相手に点を取られても、最少失点に抑えていけば勝機は生まれる」という展開から外れたわけではなかったからだ。事実、先制された直後の2回には二死二、三塁から
紅林弘太郎が「自分にとっても大きな1本」という逆転の2点適時打。隅田が勝ち越しを許した直後の5回も3つの四死球で得た二死満塁の好機で牧秀悟が「気持ちで打った」とやはり逆転の2点適時打。ことごとく相手に傾きかけた流れを一瞬で引き戻した。
2回、先制を許した直後に紅林の逆転適時打が飛び出した
5回、リードを許した直後に牧の逆転適時打が飛び出した
7回に飛び出した森下翔太の決定的な2ランも、効果的な援護で立て直した隅田が6、7回をゼロに抑えて流れを維持し続けた結果だろう。直前に無死一塁で犠打を失敗して空振り三振に終わった
辰己涼介のミスを帳消しにする、貴重な一発でもあった。
四番の森下は7回の2ランを含む2安打2打点3得点と躍動
先発の高橋[写真の左]は4回2失点だったが6回以降はリリーフ陣が踏ん張った
辰己の犠打失敗のほかにも、投手と内野の連携不足、無警戒なまま三盗を許すなど、国際大会では致命傷になりかねない細かなミスが散見されたことは事実。それでも「逆転されても離されず接戦で戦えたことが大きい」という指揮官の言葉がすべてだろう。シーソーゲームの韓国戦を制したことの意味は、決して小さくないはずだ。
■2024.11.15@台北ドーム □試合開始=19時00分 □試合時間=3時間31分 □入場者=20,028人
[投]高橋宏斗-○隅田知一郎-藤平尚真-S大勢
[本]森下翔太1号(7回2ラン)
■打撃成績 ※△は左打ち