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ラグザスpresents 第3回 WBSCプレミア12 スーパーラウンド REVIEW

【プレミア12 スーパーラウンド REVIEW 3戦&決勝】C・タイペイが主要国際大会で初の世界一 侍ジャパン、大会連覇ならず

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オープニングラウンドを勝ち抜いた日本、C・タイペイ、アメリカ、ベネズエラで行われたスーパーラウンド。日本は3戦全勝で勝ち上がり、C・タイペイと優勝を懸けた一戦に臨んだ。しかし、まさかの完封負けで頂点に届かず。スーパーラウンドの3試合、決勝の戦いを振り返る。
取材・文=杉浦多夢 写真=高原由佳、兼村竜介、川口洋邦
【プレミア12 スーパーラウンド REVIEW 1戦&2戦】はこちら

【第3戦】日本 9-6 C・タイペイ
点取りゲームを制するためいかに主導権を握り続けるか


1点差に迫られた5回に清宮幸太郎の適時三塁打などで3点を追加


 この日の第1試合でベネズエラがアメリカに敗れたことにより、すでに2勝を挙げていた日本とC・タイペイの決勝進出が決定。突如、決勝の前哨戦となった試合で侍ジャパンは全勝をキープし、井端弘和監督は「難しい試合だったが勝ててよかった」と振り返った。

 主導権をいかに握り続けるか。先頭・村林一輝の一発から、四死球をしっかり得点に結びつけ4点を先制した初回の攻撃は鮮やかだったが、5回に2点を奪われた直後の3得点、6回にやはり2点を奪われた直後の2得点が、9対6というスコアにもかかわらず危うさが漂うことのなかった要因だ。「野球は点取りゲーム。取られたら取り返すことができていれば、相手に主導権は渡していない」という指揮官の言葉にはうなずくしかない。

初回に飛び出した一番・村林[背番号9]の先制ソロで主導権を握った


 7四球と荒れた先発の早川隆久をギリギリまで引っ張ったのも決勝を見越してのこと。1点差の5回無死満塁で早川を引き継ぎ無失点にしのいだ清水達也は、「いつ、どんな場面でも行く準備はできていた」と備えは盤石。主力を休ませながらも打線の状態が上向きなことを確認した上で、決戦に臨む態勢を整えた。

5回無死満塁でマウンドに上がった清水は鮮やかな火消しに成功


■2024.11.23@東京ドーム
□試合開始=19時8分 □試合時間=3時間18分 □入場者=41,674人

[投]早川隆久-清水達也-○北山亘基-横山陸人


■打撃成績

※△は左打ち


【決勝】日本 0-4 C・タイペイ
痛恨の2発と反攻失敗 初めて手放した主導権


あと一歩及ばず、大会連覇に届かなかった侍ジャパン


 戦いに絶対はない。ましてやそれが世界一の座をかけた試合であるならば、なおさら。そんな当たり前の事実を、残酷な形で突き付けられた。

 相手先発の林昱珉は前日の“前哨戦”で先発が予告されていたが、急きょ先発の変更とこの試合へのスライドが大会側に認められていた。その是非はともかく、井端弘和監督が「素晴らしかった」と脱帽したように、4回1安打と侍打線は沈黙を強いられる。すると5回、先発の戸郷翔征が先頭打者にソロ弾を被弾。その後も四球が絡んで一死一、二塁となり、痛恨の3ランを浴びてしまった。

5回、先制ソロを浴びた戸郷はさらに一死一、二塁で陳傑憲に右翼席へ3ランを運ばれた


 戸郷は4回までに62球だったが、独特の緊張感による疲労があったか、この5回は「フォークが抜けていた」と認める。被弾したのは、いずれもストレート。自慢のウイニングショットが機能しなかったことが招いた失点だった。最初のソロ弾を浴びた時点で交代の選択肢もあったはずだが、井端監督は「ジャイアンツのエースだし、WBCでは中継ぎだった。あそこは抑えてほしいと期待した。自分の責任」と振り返る。未来の“侍のエース”を育てるための選択が裏目に出てしまい、「勝利と育成」を両輪で追求することの難しさが、最後の最後に厳しい形で露呈してしまった。

台湾打線は11安打を放つなどバットがよく振れていた[写真は5回に先制弾の林家正]


 取られたらすぐに取り返す。今大会は常にその形を実行することで、失点を喫しても相手に主導権は渡さずに勝利をつかみ取ってきた。だが、4失点を喫した直後の攻撃では二死から2本の安打で一、二塁の好機をつくるも、今大会のラッキーボーイとなっていた小園海斗が一ゴロに終わり、初めてはっきりと相手に主導権を渡してしまう。

オリックスほかの張奕に3回無失点、元ロッテほかの陳冠宇[写真]に1回無失点に抑えられるなど、侍ジャパンは4投手の前に打線が沈黙


 その流れを引き戻すことはできず、今大会2戦2勝の相手に最終決戦で敗戦を喫することになった。

9回一死一塁で栗原陵矢の強烈な当たりは一塁ライナー。飛び出した一走・森下翔太が一塁に戻り切れず併殺でゲームセット


 これで国際大会における連勝は27でストップ。2019年のプレミア12から21年の東京五輪、昨年のWBCに続く世界大会4連覇はならず、26年のWBCは再び世界一奪還を目指す場となる。

頂点に立ち、喜びを爆発させるC・タイペイナイン


■2024.11.24@東京ドーム
□試合開始=19時3分 □試合時間=2時間57分 □入場者=41,827人

[投]●戸郷翔征-隅田知一郎-藤平尚真-大勢


■打撃成績

※△は左打ち

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