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侍ジャパン・井端監督
“積極性”と“つなぎ”
大会連覇はならなかった。それでも
井端弘和監督は確かな意図を持って大会に臨み、2026年のワールド・ベースボール・クラシックへ向けた課題をあぶり出し、多くの収穫を手にしたことも確かだ。
攻撃陣は
ソフトバンク・
近藤健介や
ヤクルト・
村上宗隆、
巨人の
岡本和真、
吉川尚輝といった主軸候補を故障により欠いたことで、積極的に若手を登用しながらも「国内最強」に近いメンバーを編成するという目論見は崩れた。その中でも国際大会において指揮官が重視する“積極性”と“つなぎ”を体現したのが
小園海斗と
辰己涼介だろう。
井端監督は戦前から小園の「初球から振っていける」点を高く評価していた。アメリカ戦における2本塁打を含む3安打7打点が象徴するように、相手のデータが少ない国際大会においては“積極性”が攻撃の突破口になる。四球を含めた“つなぎ”は相反するテーマだが、辰己はチーム最多タイの6四球。同時に、やはり相手のデータが少ない中で、打席での反応により逆方向へ飛距離を出せる魅力も随所に見せつけた。
投手陣の誤算と収穫
長年の懸案事項である捕手については、主戦を務めた
坂倉将吾が打率.444、OPS1.282と持ち味である打力を存分に発揮。リード面では反省を口にする場面はあったものの、それを次への糧にすることができるのであれば、侍の正捕手争いは坂倉が基準点になっていくはずだ。
投手陣は
高橋宏斗、
戸郷翔征をはじめとする先発陣に、
隅田知一郎といった第2先発も失点を重ねて盤石とはいかなかった。井端監督も「決勝を見据えた長丁場のやり繰りで先発は6回までと思っていた中、前倒しで中継ぎの起用で難しさがあった」と本音をこぼしたが、それでも経験不足が不安視された中継ぎ陣にあって
藤平尚真はセットアッパーとして抜群の存在感を示し、
清水達也も「普段はあまりない」という火消し役で躍動。確かな次への光となっている。
井端監督の「最後のところで勝たせられなかったのは私の責任」という言葉はそのとおりだが、「今大会の経験をレギュラーシーズンで生かし、糧にしてもらいたい」というメッセージは選手たちがしっかりと受け止め、実践していかなければならない。26年のWBCにおける世界一奪還を成すことで、今大会の挑戦と敗戦が意義あるものになるのだから。
大会結果&表彰
■最優秀選手 陳傑憲(C・タイペイ) 
陳傑憲
■大会ベストナイン ■スーパーラウンド結果 
※JPN=日本、TPE=チャイニーズ・タイペイ、VNZ=ベネズエラ、USA=アメリカ
■オープニングラウンド結果 オープニングラウンド&スーパーラウンドの順位決定方式
順位は勝利数で決定する。勝利数が同じになった場合の順位決定方式は下記のとおり。
1:直接対決の結果
2:該当チーム間対戦の「TQB」<(得点/攻撃イニング数)-(失点/守備イニング数)>が大きい順
3:該当チーム間対戦の「ER-TQB」<(相手の自責点/攻撃イニング数)-(自責点-守備イニング数>が大きい順
4:該当チーム間対戦の打率
5:コイントス
■3位決定戦 2024.11.24@東京ドーム □試合開始=12時00分 □試合時間=3時間7分 □入場者=8,386人