第97回選抜高校野球大会は3月18日から13日間(準々決勝、準決勝翌日の休養日各1日を含む。雨天順延)、阪神甲子園球場で行われる。1月24日の選抜選考委員会で出場32校が決定。開幕に合わせて調整を進める高校を取り上げる。まずは、史上4校目の春連覇を狙う前年王者だ。(学年表記は2025年4月以降の新学年) 取材・文=ツクイヨシヒサ 写真=矢野寿明 
昨秋の関東大会準優勝。横浜高との決勝で延長10回タイブレークの末に惜敗し、甲子園での雪辱に燃える
昨秋の無念を糧に
出場校が発表された1月24日。グラウンドに集まる選手たちへ加藤陽彦校長、青柳博文監督から決定の報告が行われたが、浮かれたような表情を見せる者は一人もいなかった。秋季関東大会の準優勝によりセンバツへの出場が濃厚だったとはいえ、彼らが厳しい表情を保つ理由は、その志の高さゆえだ。
多くの指導者が「目の前の一勝」「一つずつの積み重ね」という言葉を掲げるなか、青柳監督は「連覇」を真っ先に口にする。選手たちの前でも、その姿勢は変わらない。
「連覇という言葉にプレッシャーを感じて、それに負けているようでは、夏の勝利もないと思うんです。だから、あえて連覇を今年の目標に設定し、普段の練習から意識していくことに決めました」
センバツ出場は3年連続8回目。外から見れば盤石の常勝軍団だが、内部のチーム事情は毎年、異なる。
「昨年のチームは、中学時代から実績を持った選手が多かったので、いろいろな面で『自分』を持っている人間の集まりでした。それは、それで良かったと思います。比べて今年のチームは、自分たちはあまり強くないという感覚を持った選手が多い。その分、こちらから出した指示に対しては、的確に動こうという意識が高く『徹底力』がとても素晴らしいなと思っていますね」
チームのカナメである遊撃手の主将・
加藤大成(3年)も、「今年はチーム力が強み」と明言。「挑戦者の気持ちを忘れずに頑張りたい」と意気込みを語る。さらに、こう続けた。
「投手陣を中心とした守備から流れをつくり、つなぐ打線でしっかりと点を取る、というのが自分たちの持ち味です。冬を越えても、その部分は変えずに、心技体すべての面において個々のレベルアップを果たしていきたいと思います」
昨秋の関東大会決勝では、横浜高(神奈川)と延長10回タイブレークの末、3対4でサヨナラ負け。明治神宮大会への切符を逃した。
「あの結果を受け、冬場はタイブレークの練習にも力を入れてきました。送りバントはもちろん、相手の攻撃をどう防ぐかという守備面での強化も図っています」(主将・加藤)
横浜高に競り負けたことに対し、「自分たち指導者以上に、選手たちが悔しがっていた」と青柳監督は振り返る。
「心から悔しいと思った彼らの気持ちが、いい形で春につながって来ているなと感じています。あの試合では・・・
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