歴史あるカリビアンシリーズに今年は日本からアレックス・ラミレス監督率いるジャパンブリーズが初参戦した。中南米各地が熱狂する同シリーズ。4戦全敗で最下位と結果を残せなかったが、その意義は大きい。 文・写真=中島大輔 
ジャパンブリーズを率いたラミレス監督
都市対抗野球に重なるイメージ
日本やアメリカがシーズンオフの冬、中南米各国で盛り上がるのがウインター・リーグだ。その中でトップの実力に位置づけられるドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコの優勝チームが招待国を招き、毎年1月末から2月にカリビアンシリーズが開催される。
昨年はアメリカのマイアミで行われ、ワールド・ベースボール・クラシックと同程度の観衆を集めた。過去にはキューバやコロンビア、キュラソー、ニカラグアなどカリブ海諸国のチームが招待されてきたが、今回、日本からジャパンブリーズが招かれたのは市場拡大の狙いがある。
以前からNPBやKBO(韓国プロ野球)を招待する構想はあった。実現しなかった理由の一つは春季キャンプの時期と重なるからだ。
そこで出場を打診されたのが、ベネズエラからアメリカ経由で来日して野球人生を切り開き、外国人初の2000安打を放ったアレックス・ラミレス(元
DeNA監督)だった。ジャパンブリーズを創設し、自ら監督を務めて参加することにした。
日本ではなじみが薄いが、今年67回目を迎えたカリビアンシリーズは世界的に注目を集める舞台だ。その重要性について、今大会をドミニカ王者として制したレオネス・デル・エスコヒードの前GMで現在アドバイザーを務めるホセ・ゴメスが語る。
「さまざまな国や都市を代表するチームが参加し、野球だけでなく文化をカリブ海諸国に披露する機会となる。国の代表ではなく、リーグの代表として出場するから所属する外国人選手もプレーするんだ」
異文化との交流を通じて発展してきたのがラテンアメリカの特徴だ。カリビアンシリーズもまさに同じで、野球を通じて参加国間の交流を深めようとしている。たとえるなら社会人の都市対抗野球を、カリブ海諸国で行っているようなイメージだ。
由緒ある大会にアジアから初参加するにあたり、ラミレスは明確な意図を持ってチームを結成した。NPBの協力を得られていないという事情はあるが、独立リーガーやNPB球団を自由契約となった選手たちで臨んだのだ。
「日本球界のシステムにより、不運にも多くの選手はNPBでプレーする夢をかなえられていない。今大会はNPB復帰への足掛かりにするだけでなく、アメリカやカリブ海諸国のチームにアピールする機会にもなる。ジャパンブリーズは選手たちにセカンドチャンスを与えたい」
NPBでは26歳を超えると、年齢面からドラフト指名されにくくなるのが実情だ。一般的に野球選手のピークは20代中盤から後半とされ、独立リーグや社会人では同時期に伸びる選手も少なくないが、NPB球団と契約するのは難しい。ゆえに近年、台湾や韓国、メキシコのプロ野球に挑戦するケースも増えてきた。
対して、MLBでは・・・
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