第32回 WBSC U18野球ワールドカップの決勝が9月14日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、アメリカが2大会ぶり11度目の優勝を遂げた。前回大会に続く2度目の世界一を目指した日本は、アメリカとの決勝で惜敗(0対2)。オープニングラウンド5試合、スーパーラウンド3試合を8戦全勝で決勝に進出したが、最後にライバル相手に屈した。 取材・文=沢井史 【大会総括】はこちらから 
日本は開幕から8戦負けなしで決勝へ進出したが、アメリカとの決勝では散発3安打と打線が沈黙。前回大会に続く世界一はならなかった[写真=福地和男]
日本チームの立ち居振る舞い
1万6693人の観客で埋め尽くされたスタンド。日本選手たちの一挙一動に拍手と指笛が鳴り響く中で始まった決勝だった。

メーン会場は沖縄セルラースタジアム那覇。日本とアメリカの決勝は1万6693人の大観衆で埋まった[写真=牛島寿人]
アメリカの先発・
ボスウィック投手の常時150キロ台をマークする力ある剛球と、堅守に阻まれ、主導権を握ることができなかった。それでも小倉全由監督は「世界一を目指してやってきましたけれど、目の前で相手が優勝するところを見せられるとね……。悔しいですけれど、最後までよくやってくれました」と選手たちをねぎらった。

決勝のターニングポイントは3回裏の日本の攻撃だった。一死二塁から遊撃へのライナーを、アメリカの遊撃手・ルイスが好捕し、そのまま二塁へベースタッチ。超美技の併殺で流れを引き寄せた。二塁走者は坂本慎太郎(関東第一高3年)[写真=牛島寿人]
スーパーラウンドで勝利したアメリカとの決勝。同ラウンドで先発し4回1/3を投げ、無安打投球を見せた
末吉良丞(沖縄尚学高2年)が決勝でも先発を任された。初回、2回にピンチを背負うも3回まで無失点に切り抜けたが、4回表に3連打で1点の先制を許す。

日本の先発を務めた末吉(沖縄尚学高2年)は今夏の甲子園優勝投手。地元・沖縄の熱い声援を受け、4回途中1失点と力投[写真=福地和男]
なおも一死一、二塁の場面で最速158キロ右腕・
石垣元気(健大高崎高3年)にスイッチ。右飛、二ゴロに打ち取ってピンチを切り抜けた。だが、5回に3四死球で一死満塁のピンチを招き、犠飛で手痛い追加点を許した。石垣は3回2/3を投げ安打を許さなかったが「自分の投球がまだ、世界には通用しなかった。悔しいの一言です」と無念の表情を浮かべていた。

日本の二番手・石垣は4回途中から救援し、5回表に犠飛で1失点。この日最速の156キロの直球とキレのある変化球でアメリカ打線に対峙した[写真=牛島寿人]
優勝が決まり、アメリカの選手たちがペットボトルの水をかけ合って喜びを爆発させていた。マウンド近くに放置していたそのペットボトルを、
阿部葉太主将(横浜高3年)をはじめとした日本の選手たちが拾って片付け、さらにはグラウンドに置いたままのアメリカ側の野球道具を相手チームスタッフに渡していた。

アメリカは日本とのスーパーラウンドを、タイブレークの延長8回の末に敗退(2対6)。この1敗を糧に、決勝では集中力を発揮し、2大会ぶりの優勝を決めた[写真=上野弘明]
「誰がやろうと言ったわけではなく、自然とみんなで拾っていました」(阿部)と振り返った。開幕前、小倉監督は「日本の野球の素晴らしさを世界に見せたい」と話していた。日本高野連が掲げるFのマークには「フェアプレー」「フレンドシップ」「ファイティングスピリット」という3つの意味がある。連覇を果たすことはできなかったが、敗れても最後まで真摯な姿勢を貫いた。選手たちの立ち居振る舞いに、地元・沖縄の観衆からは大きな拍手が送られた。
「決勝戦でこれだけたくさんの沖縄の方から大きな声援をいただいて、本当に感謝しかないです」と小倉監督。自身がユニフォームを着ることは今大会が最後だと明言した上で、最後まで戦い抜いた20人の戦士たちに「この経験を、次のステージで生かしてもらいたいですね」と、最後は穏やかな表情を浮かべていた。
■第32回 WBSC U18野球ワールドカップ決勝 9月14日 沖縄セルラースタジアム那覇 観衆16,693人 
[ア]○C.ボスウイック-W.ブリック
[日]●末吉、石垣ー横山
◇試合時間 1時間47分