昨年10月23日のドラフト会議で2球団競合の末、ソフトバンクが交渉権を獲得した。大学2年目シーズンを間近に控え、各社合同でのオンライン取材に応じ、心境を語った。 
現地・スタンフォード大から約44分にわたるオンライン取材に応じた佐々木。一つひとつの質問に対し、丁ねいに受け答えした
あくまでも一人の大学生
現地時間、1月27日の21時(日本時間28日、14時)からオンライン取材が始まった。なぜ、この夜間帯に設定されたのか。この日は朝8時に活動を開始。9時からウエート・トレーニングを行い、その後は2つの授業を受講した。15時から18時過ぎまではチーム全体練習に参加。20時過ぎまで個人練習に励んだ後、合同取材に応じたという。
「朝から晩まで30分単位でスケジュールを組んでいて、今日もここに来るまで、お昼を取る30分くらいしか休みがなかったです。タイムマネジメントの重要性を感じています」
昨年は勉強とスポーツを両立した学生に贈られる賞を受賞。世界各国から集まった優秀な学生たちと肩を並べ、授業はすべて英語で受けている。
「リスニングやスピーキングは、日常生活の中で自然と鍛えられています。まだまだ伸びしろは大きいと感じています。それは、野球でボールを遠くに飛ばせるようになったときの感覚に近いです」
ソフトバンク1位指名。率直な感想を「光栄なことで、うれしい気持ちです。ソフトバンクは豪快な野球をされる。でも、豪快の中でも繊細さがあり、最先端を行っている」と語った。ドラフト当日は関係者を通じて
王貞治会長と会話し、ドラフト後は
城島健司CBOが指名あいさつに訪れた。「誠意を持ってご指名をいただいて、意識することはあります。ただ、今はスタンフォードのユニフォームを着ている以上、監督、コーチの思いに応えないといけない。役割、責任を果たすことに集中したい。進路を決断するときに考えていかないといけない」。今年7月にはMLBドラフトが控えるが、大学2年目シーズンに目を向ける。侍ジャパン大学代表の候補に浮上という話題も出たが「記事は見ましたが、自分自身がいま、言えることはない。(代表)どうこうのレベルではない。結果を残さないといけない」と、冷静に話した。
昨季は1年生では超異例の全試合に出場。年末年始に岩手に帰省した際は本職の一塁以外、三塁などの練習もこなし、選択の幅を広げている。父・洋さん(花巻東高監督)とのマンツーマン指導は、特別な時間だった。
「昨年は速球系に対するミスショットが目立ちました。ゴロも多く、シーズン当初は広角に打てていた打球が、次第に引っ張る傾向が強くなっていました。今は打球方向の改善に取り組んでいます」
20歳・佐々木はあくまでも一人の大学生。「私の信念として野球と学業を両立して、レベルの高い環境の中でチャンスを広げていく。素晴らしいオファーをいただいて、人生設計の中で一番、可能性がある。(スタンフォード大は)自分にとって良い選択だと思います」
アメリカには「NIL」というプログラムがある。名前、イメージ、肖像の商業利用を認め、NCAA(全米大学体育協会)が採択したポリシー。佐々木は
シューズ、航空、時計など14企業からサポートを受けている。
追い求める夢。花巻東高の先輩であるエンゼルス・
菊池雄星、ドジャース・
大谷翔平は、自らの意志を貫いてきた大先輩である。
「どういうプロセスになるか分からないが、最終的な野球人生のゴールとしてメジャーの舞台でプレーすることが目標です。(2人は)ずっと憧れの存在で、その思いはアメリカに来ても変わりません。同じ舞台でプレーできるような選手、人間を目指して日々やっているつもりです」
約44分にわたる取材後「最後に一言だけ、すみません」と自ら切り出した。
「十分な時間を取れず、すべての質問にお答えできなかったことを申し訳なく思っています。とにかく今は自分自身のこれからに集中していきたい。その中で、皆さんのサポートやご支援をいただけたらうれしいです。本日はありがとうございました」
どれほど忙しくても、周囲への気遣いを忘れない。これが
佐々木麟太郎の実直な人柄だ。