年に一度の夢の祭典、オールスターゲームが開催。第1戦は10年ぶりとなる東京ドーム、第2戦は実に30年ぶりとなる富山を舞台に、“お祭り”ならではのプレーがファンを喜ばせた。 取材・文=杉浦多夢 写真=毛受亮介、高原由佳、桜井ひとし、兼村竜介、大賀章好、牛島寿人、宮原和也 【第1戦】白熱の空中戦を制し全パが先勝
全セ 5×7 全パ(通算パ94勝81敗11分) 
万波はあと本塁打でサイクル安打の4安打でMVPに輝いた
全セは初回に
佐藤輝明(
阪神)が右翼ポール際の2階席にソロを放つと、2回に
細川成也(
中日)も左中間席へ叩き込んで2点のリードを奪う。全パは3回に
近藤健介(
ソフトバンク)の適時二塁打、
レイエス(
日本ハム)の適時打で試合を振り出しに戻すと、5回に
万波中正(日本ハム)の適時打で勝ち越し。

乱打戦の中で平良は全パの二番手として2回無安打無失点で勝ち投手に
7回に万波の適時三塁打、8回に代打・
西川史礁(
ロッテ)、
村林一輝(
楽天)の連続本塁打で突き放す。全セは8回に
大城卓三(
巨人)の適時二塁打、
大山悠輔(阪神)の左中間スタンドへの2ランで2点差まで詰め寄るも、両軍合わせて5本塁打、28安打の乱打戦を7対5で全パが制した。

全セは佐藤の一撃を皮切りに3発を放つもあと一歩及ばず
第1戦/表彰選手 最優秀選手賞 万波中正(F)
敢闘選手賞 平良海馬(L)
西川史礁(M)
佐藤輝明(T)
マイナビドリーム賞 佐藤輝明(T)
■2026年7月28日(火)/東京ドーム
■試合時間2時間39分
■観衆4万1781人
【第2戦】両軍計5本塁打36安打の乱戦!
全パ 7×8 全セ(通算パ94勝82敗11分) 
2回にソロを放った細川は6回に逆転2ランで全セを勝利に導き文句なしのMVPに
全セは3回に
長岡秀樹(
ヤクルト)の三ゴロの間に先制すると、佐藤輝明(阪神)、細川成也(中日)の連続ソロで3点のリードを奪う。その裏、全パは
西川龍馬(
オリックス)の適時打、
柳田悠岐(ソフトバンク)の3ランで逆転するも、全セは4回に長岡の適時打で同点に。

全パは2回に柳田の逆転3ランが飛び出したが……
全パはその裏に本盗(重盗)と
清宮幸太郎(日本ハム)の犠飛で2点リードしたが、全セは5回に大城卓三(巨人)の2点適時二塁打で再び同点。

大城は5回にあと一歩でスタンドインの同点適時二塁打
その裏、全パは代打・レイエス(日本ハム)が左翼席へ勝ち越しソロを放つが、6回に細川がバックスクリーンに2ランをたたき込んで全セがついに逆転。リードを守り切って8対7で勝利した。

連夜の乱打戦も全セは岡本がラスト2イニングをゼロに抑えてリベンジ成功
第2戦/表彰選手 最優秀選手賞 細川成也(D)
敢闘選手賞 岡本駿(C)
大城卓三(G)
柳田悠岐(H)
マイナビドリーム賞 柳田悠岐(H)
■2026年7月29日(水)/富山
■試合時間2時間58分
■観衆1万9158人
オールスター“ならでは”“だからこそ”が詰め込まれた2戦だった。まずは球心会の
王貞治代表が「ファンが望んでいるのはホームラン。ガンガン、ホームランが出てほしい」と語っていた“空中戦”だ。
東京ドームでの第1戦で初回に阪神・佐藤輝明が右翼ポール際の2階席に飛び込む特大弾で口火を切ると、富山での第2戦の6回に中日・細川成也が前夜から3本目となる決勝2ランをバックスクリーンにたたき込むまで、2試合で両軍合わせて10発が乱れ飛んだ。第1戦の6回にはロッテ・西川史礁が史上6人目となる初打席での代打本塁打を放てば、続く楽天・村林一輝が2者連続弾。第2戦の2回にも佐藤と細川が立て続けに花火を打ち上げ、ファンを沸かせた。主役となった細川は「ホームランダービーでも優勝できて、本当に楽しくできた。ファンの方にも喜んでもらえる」と満足気な笑顔を浮かべていた。

西川史礁は史上6人目となる初打席での代打本塁打の離れ業

全パは西川に続いて村林のソロ弾で全セを突き放した
真夏の花火大会は球宴“ならでは”の華だが、全パの
小久保裕紀監督が「シーズン中に見ることのない光景を楽しんだ」と口にした球宴“だからこそ”のファンを楽しませるプレーも連発された。
第1戦の3回、全パは二死一塁でソフトバンク・栗原陵矢の打球が一塁線を破ると、一走の日本ハム・レイエスが巨体を揺らして激走。三塁コーチに入っていた
西武・高橋光成に「ジェスチャーで回せよと伝えていた」と言うように本塁へ突入するも憤死したが、レギュラーシーズンでは見られないであろう“大暴走”は迫力満点だった。
日本ハムの
新庄剛志監督もエンターテイナーぶりを見せつけた。第2戦の4回、一塁コーチに入ると無死一、三塁から重盗を敢行。三走のオリックス・若月健矢が生還すると同時に、自らもコーチャーズボックスから本塁へ走り、両手を広げながらヘッドスライディングを決めた。2004年のオールスターで記録した単独ホームスチールを彷彿とさせるパフォーマンスでファンを喜ばせ、昨年は電光掲示サングラスでのスクイズを決めることができなかっただけに、「やっとサインを実行できた」と自らも喜んだ。

全パは4回に一塁コーチに入った新庄剛志監督のサインで重盗を仕掛けて本盗に成功
粋な采配を見せたのが小久保監督。第2戦の3回、四番・三塁でスタメン出場していた栗原を捕手に起用した。21年の球宴で4ポジションを守って以来となるマスクをかぶる姿は、キャッチャーミットのまま捕手から一塁守備に就いた若月とともに、なかなか見ることができない光景だっただろう。
本塁打が乱れ飛んだのは、第1戦の6回に登板した巨人・田中瑛斗が帽子のつばに書かれた「
シュートいきます♡」を見せたように、両軍の投手陣が真っ向勝負で魅せたから。真剣勝負が失われたことに対する懸念の声もあるが、選手たちがファンを喜ばせることに真剣だったことは確かだ。
今年の夢舞台も、間違いなく“お祭り”にふさわしい戦いだった。