
環境の変化が自身を後押しする
大歓声が心地よかった。
和田恋は白い歯を見せながら、ゆっくりとベースを一周した。8月11日の
オリックス戦(
楽天生命パーク)。5点リードで迎えた8回だった。和田が神戸の外角直球を強振した。高々と舞い上がった打球は、右中間最深部で弾んだ。
7月に
巨人から交換トレードで加入。移籍後初アーチは、うれしいプロ初本塁打にもなった。「右方向に強い打球が打てるようにスイングしています」と語る和田にとって、狙いどおりの一発だった。
高知高では1年夏から内野のレギュラー。3年春のセンバツで四番を務め、済美高との準決勝で敗れたものの、注目右腕の
安楽智大(現楽天)からアーチを放った。右の長距離砲として期待され、2014年ドラフト2位で巨人に入団。しかし一軍では結果を残せず、通算5試合で8打数1安打4三振に終わっていた。
石井一久GMは「和田選手は将来、主軸を打てるかもしれない」と未来のクリーンアップ候補として期待を寄せる。その魅力は強打だけにあらず。8月15日の
ソフトバンク戦(楽天生命パーク)では、2回と4回に相手先発・
二保旭の変化球にしぶとく食らいつき、ともに中前打。状況に応じて軽打も打てるバットコントロールも自慢だ。
「5年半も巨人にいて、戦力になれなかった悔しさはある。心機一転、一軍で活躍することで巨人にも恩返しができたら」と和田。かねてから期待され続けた和製大砲が、新天地でその才能を本格的に開花させるか。
写真=BBM