
守備では主に二塁を守る機会が多いが、一塁、三塁もこなす
貴重な一軍戦力として、申し分ない働きを見せている。昨季限りで
巨人を戦力外となり、12球団合同トライアウトを経て
DeNAに入団した
中井大介。8月29日までに63試合に起用されて3本塁打をマークしており、ドラフトを除けば唯一と言われた補強は大当たりと言えるだろう。
巨人でレギュラーの座をつかみかけながら故障に泣いた2013年以降、くすぶっていた印象があるが、持ち前のパワーは健在だ。チームの100試合目だった8月3日の巨人戦(横浜)は「六番・二塁」で先発出場。
今村信貴のインコースの速球を振り抜いた打球は、ライナー性の軌道のまま電光掲示板を直撃。古巣相手に放った今季初本塁打は、トラックマンデータで打球速度170キロ、推定飛距離140メートルと測定された。これは昨季の本塁打王、
ソトが今季マークした最高値と遜色ない数字だ。
一方で、
ラミレス監督が評価するのはユーティリティー性だ。実際にDeNAでは遊撃以外の内野全ポジションを守っており、
宮崎敏郎の故障離脱で
筒香嘉智が三塁に回ってからは、外野の練習もこなして備えている。打順も主軸の五番を任されることもあれば、時には一番打者として打線の火付け役に期待される。
中井がプロ初本塁打を放った2009年9月11日の
広島戦(マツダ広島)、巨人の四番として出場していたのがラミレス監督だった。「あのときは若かったが、いろいろな経験を積んで彼の野球観も洗練されている」と目を細める。
写真=井田新輔