
速球が武器の投手が並ぶ中で、藤岡のようにサイドハンドの技巧派はブルペンでも貴重な存在だ
紆余(うよ)曲折を経ながら、一歩ずつ前へ進んできた。「年齢は追いかけないようにします」と苦笑いしたのは
藤岡好明だ。伸び盛りの若手がそろう
DeNAで、34歳は日本人最年長。「僕のイメージは
吉田修司さん、小久保(
小久保裕紀)さん、松中(
松中信彦)さん、稲葉(
稲葉篤紀)さん。まさか僕がそういう立場になるとは……」と時代の流れを実感した。
ソフトバンク、
日本ハムとパ・リーグでもまれ、横浜に身を置いて5シーズン目。「1年でも長く現役をやりたい。1日1日をムダにしないようにしなければいけない」と力を込めた。
昨年は6年ぶりに30試合をクリアし、32試合で1勝1ホールド、防御率1.86。貴重なサイド右腕としてブルペンを支えた。「今はパワーピッチャーが評価されやすい時代。『技巧派の意地』じゃないですけど、そういうものを見せたい気持ちはあります」。直球は140キロ前後でも、スライダー、シュート、シンカー、カットボールと多彩。引き出し豊富なベテランを頼る後輩は多く、1月は宮崎で
濱口遥大、
国吉佑樹、
平良拳太郎、
飯塚悟史と合同自主トレに励んだ。
「後になって後悔するような野球人生を送ってほしくない。僕がそうだったので。少しでも手助けになれれば……という思いです」。午前10時から午後4時半までのハードメニュー。「フィジカルで負けているつもりはないので」と充実感を漂わせた。ハイレベルな救援陣に不可欠な存在。「困ったときのフジオカさん」が渋く、味のある働きを見せてくれそうだ。
写真=大賀章好