
一軍生き残りを懸けて、古谷のアピールは続く
スタンドからどよめきが起こった。2月13日に行われた今キャンプ初の紅白戦。プロ4年目で自身初のA組(一軍)スタートを切った
古谷優人が主役となった。球場のスピードガンで「153キロ」を計測。
釜元豪を見逃し三振に仕留めた。「打たれても次の課題にすればいいという気持ちで投げた」。恐れることなく自慢の直球を投げ込んだ。
昨季、三軍戦で非公式ながら日本人左腕最速の160キロをマークし、強烈なインパクトを与えた。一方で球速へのこだわりが、制球面の不安にもつながっていた。そこで昨秋キャンプから脱力投法に取り組んだ。上半身に頼りがちだったが、「下半身を鍛えたことでテークバックまでの動作が安定し、手を振る場所が一定になってきた」と力まなくても強いボールが投げられるようになったことに手応えを感じた。また、年末年始に帰省した際には、北海道帯広市内にある知人の牧場を訪問した。父はかつてばんえい競馬の騎手であり、自らも乗馬に挑戦。「最初は遊びのつもりで乗ったけど、内転筋とか体幹がすごく痛くなって、いいトレーニングになると思った」と汗を流した。
昨年末には福岡県出身の一般女性と結婚。13日の練習前にはチームの輪の中で結婚を報告し、首脳陣や選手会からのご祝儀を手渡された。「妻のためにも、という気持ちは当然ある」。まだ一軍での登板経験はないが、今後のアピールで、狙うは開幕一軍だ。「ダメなら出直すだけ。開き直っていきたい」と前だけを向く。
写真=BBM