
10日の阪神戦(横浜)で待望のプロ初安打となる一発をバックスクリーンへたたき込んだ
大舞台は一瞬だった。「初球からいくことが大事だと思っていた」と前を向いたのは
蝦名達夫だ。ドラフト6位入団の大型外野手。開幕一軍入りを果たし、6月24日の
中日戦(横浜)で出番が回ってきた。1点リードの8回二死。代打でのデビューだ。狙ったのは相手左腕・
福敬登の139キロ。ミスショットによって二飛に終わった。「積極的にいけたことを、次の打席に生かしたいです」。翌25日には出場選手登録を抹消。プロの厳しさを知った瞬間だった。
「自分があるのは、今までお世話になった人たちのおかげ。感謝の気持ちを忘れず、一生懸命プレーしたい。自分の持ち味は打撃。開幕一軍を目指して、しっかりアピールして頑張っていきたいです」。185センチ、87キロ。昨年11月に行われた新入団選手の発表会では、色紙に「感謝」と記した。
青森大では1年秋の最多打点、4年春に最多本塁打、秋には首位打者。謙虚に日々前進してきた。「蝦名はパワーもあるし、見てみたい」とさっそく注目したのが同じ右打者の
ラミレス監督。2月の一軍キャンプに抜てきし、外野の一角として構想に入れていた。
ところが、キャンプ序盤に左手薬指を骨折。オープン戦にも出場できなかったが、開幕延期によってチャンスをつかんだ。「何か光るものを感じた」とは指揮官の言葉。二軍で猛アピールの毎日だった。8月29日に行われたイースタン・リーグの
日本ハム戦(鎌ケ谷)から4試合連続本塁打。計5発と大暴れし、9月8日の阪神戦(横浜)で再昇格を果たした。10日の同カード、4回に代打で登場すると
能見篤史からプロ初ヒット&初アーチをバックスクリーンへ運んだ。
DeNAにとって貴重な右の外野手。残りのシーズンが楽しみだ。
写真=大賀章好