
開幕直前に支配下登録を勝ち取り、セットアッパーの大仕事を任されている
目標の場所にたどり着いた喜びと自信がみなぎっていた。
長谷川凌汰は3月27日
楽天戦(楽天生命パーク)でプロ初登板。しびれるマウンドだった。名前が
コールされたのは1点リードの7回。セットアッパーとしての役割を期待されて楽天の四番・
浅村栄斗、五番・
茂木栄五郎、六番・
鈴木大地をきっちり抑えた。荒れた試合の中で初めての三者凡退。チームの今季初勝利につながる、価値あるプロ初ホールドを挙げた。試合後、ホッとした表情で言った。「頑張ってきて良かった」。
勝負の2年目でブレークの予感が漂う。育成選手として昨季入団した苦労人は「今年ダメだったら、クビだと思っていた」と昨オフの自主トレから自身にプレッシャーを与えながら過ごしてきた。力強い150キロ超えの直球と三振を奪えるフォークが武器。特長を生かして結果を積み重ね、支配下登録を勝ち取ったのが開幕10日前の3月16日だった。会見では「決して回り道ではなかった」と過去の道のりを振り返った。
BCリーグ新潟時代、オフはバイト生活で生活費を貯めながら実力を磨いた。育成1年目の昨季は3月のオープン戦で支配下契約へ猛アピールしたが、6月下旬の開幕が決まった直後に左腰を痛めて出遅れ、目標を果たせなかった。悔しさをバネに大きく羽ばたく土台を築き、飛躍の準備は整った。「ここからが勝負です」と初の開幕一軍入りで、いきなりの大仕事。「また、こういう場面で投げさせてもらいたい」。一軍で投げられる喜びをパワーに変え、最高のスタートを切った。
写真=BBM