
地元への思いを胸に、まずは一軍再昇格を目指す川原
プロ入り12年目を迎えた左腕、
川原弘之ほどホークスを身近に感じながら育った選手はいない。実家はPayPayドームから約5キロほどの距離。幼少期には、応援グッズを手に家族とともに球場に足しげく通い詰めた。福岡市内の硬式野球チームに所属した中学時代は『第1回ホークスカップ』で優勝投手に。「ヤフードーム(当時)のマウンドで投げるのは最初で最後だと思っていました」。当時の素直な思い出を振り返るが、中学卒業後は本拠地からは2キロ弱しか離れていない福岡大大濠高で腕を磨き、ホークスのユニフォームを着てのプロ入りという夢を叶えた。
地元への強い思いがあるからこそ、苦難にも耐え現在もPayPayドームのマウンドに立つ。ドラフト2位での入団時からその潜在能力は高く評価され、高卒3年目だった2012年の二軍戦では、当時の日本人左腕投手最速記録となる158キロを計測。将来の主戦候補と大きな期待を受けたが、順風満帆とはいかなかった。15年に左肩と左ヒジを手術。その影響で翌年から3シーズンを育成選手として過ごした。
それでも実直かつ地道にリハビリを続け、キャンプから好アピールした19年の開幕前に4年ぶりの支配下登録に返り咲いた。10年目で開幕一軍入りも果たすと、貴重な中継ぎ左腕として同年は19試合に登板。昨季も22試合に登板し、防御率2.00と結果を残した。今季は開幕を一軍で迎えながら、4月初旬から二軍調整が続くが、苦労で得た強さと地元愛にあふれる左腕には、PayPayドームのマウンドが似合う。
写真=湯浅芳昭