
来日3年目でようやく日本球界に順応し本来の力強い打球が増えてきた
8月18日
オリックス戦(ほっと神戸)の3回だった。チームの長く、暗いトンネルの出口を見つけたのは
王柏融だった。一死満塁で右前へ2点適時打。「自分でコントロールできない結果ではなく、今できることに集中して打席に入った結果」と振り返った一打でもたらした得点は、後半戦4試合目、チームとしては31イニングぶりの得点だった。
来日3年目でようやく頼もしさを感じる打席が増えてきた。28、29日の
西武戦(メットライフ)では2試合連続3打点。打率は.231にとどまるが、7本塁打は来日後の最多本数(8月31日現在)。パワーで押す投手が多いパ・リーグで、真っすぐを打ち返すことに苦労してきた「台湾の大王」が、ようやくアジャストして本来の力強い打球が増えてきた印象だ。
台湾時代の実績は、規格外のものだ。23歳シーズンの2016年は台湾球界史上最高の打率.414、同初の200安打で首位打者と最多安打、最高出塁率を獲得してリーグMVP。さらに17年は2年連続4割超えの打率.407、31本塁打、101打点で台湾人初の三冠王、2年連続で最多安打と最高出塁率も獲得して再びMVP。18年も最高出塁率を獲得するなど、投手にとって脅威でしかない無敵の大王だった。
しかし、
日本ハム移籍後は日本球界へ順応が後手を踏んだ。調子よく安打を重ね始めると故障という悪循環が続き、さらにコロナ禍でイレギュラーな異国での生活も強いられた。数々の苦境に打ち勝つメンタルも追いついた今季も残りわずかとなってきたが、3年契約の3年目の最終盤は意地を見せてほしい。
写真=BBM