
開幕戦で輝きを放ったが、その後は打撃不振に悩んだ。ケガにも泣かされた
輝きは強烈だった。「こうやってまた違うチームでも、東京ドームでプレーできるのはすごくうれしかった」。3月26日の開幕戦。昨年まで在籍した
巨人を相手に、
田中俊太が大暴れした。「七番・二塁」で先発出場を果たし
菅野智之、
中川皓太から計3安打。開幕戦ではセ・リーグ新記録となる6打点をたたき出した。「敵ながら、大したもんですよね。これからもっと、マークを強くしないと。格上げ人事だね」と舌を巻いたのは敵将・
原辰徳監督。新天地で申し分ないスタートを切った。
「求められて入団させていただいたと思っている。環境が変わることをチャンスととらえて、チームの勝利に貢献したい」と決意表明したのは今年1月のこと。FAで巨人へ移籍した
梶谷隆幸の人的補償として、
DeNAの一員となった。
広島・
田中広輔の実弟。内野の全ポジションに外野までこなす万能選手は「当たり前のプレーを堅実にできる。走攻守、全部で力を出していきたい」と長所を還元しようと必死だった。
ここまで56試合で打率.152、0本塁打、8打点。打撃不振によってレギュラー獲得は逃し、6月27日には左手親指骨折に伴う手術も受けた。それでも一塁、二塁、三塁、遊撃で起用され、有事には欠かせない存在であることを証明。コンディションも回復し、9月28日の
ヤクルト戦(神宮)で3カ月ぶりに出場選手登録された。チームは一度も浮上することができず、悲願だった優勝、クライマックスシリーズ進出の可能性も消滅。何でもできる男も、巻き返しに燃える1人だ。
写真=榎本郁也