オリックスの“ビッグボイス”こと大下誠一郎が、今季もベンチで声を張り上げている。味方打線がボール球を見極めると「ナイスアーイ!」や「見えている~!」と盛り上げる。
2019年秋の育成ドラフト6位でオリックスに入団し、1年目の20年途中に支配下選手登録を勝ち取った。同年9月15日の
楽天戦(ほっと神戸)では、八番・三塁でプロ初スタメン。2回にはプロ初打席で
辛島航から左翼席へプロ初安打となるプロ初本塁打を放った。育成ドラフト出身で、プロ初打席初本塁打は史上初の快挙となった。
今春キャンプはA班スタートで、メーングラウンドには常に大下の声が響いた。「練習でチームが暗い雰囲気だったら、誰も上達しない。とにかく自分が引っ張るつもりで、声を出しとるっす。自分が引っ張るんや、ちゅうふうに」と北九州育ちの背番号40は方言が抜けない。
入団3年目で「声の出し方を覚えてきたんです。声がかれんように」と声出しにも工夫を重ねる。
中嶋聡監督からアメを手渡され「これ、食えよ」とノドのケアを促されるほどだ。
大下は「野球が大好きだったら、死ぬ気で声を出すのが普通やと思う。意識して大きな声を出そうとしてるわけじゃない。勝ちたいって本気で思うから、声が出るって感じ。負けたくないし、熱くなる」と気持ちを前面に出す。オリのビッグボイスは、悲願の日本一までノドを潤す。
3月9日の
中日戦(ナゴヤ)では、今季チーム1号となるソロを左翼席に放った。心の叫びと、快音をグラウンドに轟かす。
写真=BBM