現在は一軍であらゆる経験を積んでいる林
いきなりの試練だった。
林琢真はそれを糧にし、一軍の舞台で踏ん張りを利かせている。3月31日。敵地・京セラドームで迎えた
阪神との開幕戦だった。
三浦大輔監督から二番・三塁に抜てきされたルーキー。2回、5回に犯した失策がともに失点へつながった。
「気持ちが揺らいでしまった。持っているものを出せず、何もできなかった」
打撃でも二ゴロ、空振り三振、三邪飛で途中交代となり、試合は3対6で黒星スタート。「切り替えて、次に生かしたい」と必死に前を向いた。
「走攻守でスピードあるプレーが自分の売り。スピード感を前面に出して、すべてにおいてアピールしていきたい」
50メートル走5秒7の快足。駒大から昨年のドラフトで3位指名され入団し、即戦力として大きな期待をかけられた。二塁を中心に内野ならすべて守れる万能型。「名前に『琢』があるのは偶然です」と照れ笑いし、
石井琢朗チーフ打撃コーチのような一番打者を理想とした。
オープン戦は17試合に出場し、12球団で3位の打率.296。4盗塁を決め、機動力不足(2022年はセ・リーグ5位の49盗塁)だったチームにも新しい風を吹かせた。
三浦監督の言葉にも背中を押された。「すべてが経験。気にせず、またやり返してくれたらいい」。代打や守備固め、代走と我慢強く起用。4月11日の
ヤクルト戦(神宮)では、23打席目でプロ初安打と初盗塁も記録した。
「これから積み重ねていけるように頑張りたい」
53試合時点で一度も二軍降格はなし。ハマの新星は勢いと可能性を秘めている。
写真=BBM