
昨季の活躍が一転、野村勇は苦しい現状を打破しようと必死だ
思い描いていたものとは違い、大きな飛躍を果たすはずだった野村勇がもがいている。今季初出場は6月8日の
DeNA戦(PayPayドーム)。8回に代打で登場し左前打をマークした。今季初打席での初安打。喜びと安堵の一方で、今季52試合目まで一軍の舞台に戻ってこられなかった悔しさが余計ににじんだ。ルーキーイヤーの昨季は、1939年に
鶴岡一人が樹立した球団新人記録に83年ぶりに並ぶ10本塁打をマーク。レギュラー獲りに向けて充実のオフも過ごしたが、3月末に腰の手術を受け長期離脱を余儀なくされた。
懸命なリハビリで当初の予定よりも早く一軍復帰はできたが、打撃では苦しんでいる。代打で出場した6月17日の
阪神戦(甲子園)では今季1号をマーク。7月2日の
西武戦(ベルーナ)では2号を放つなど持ち前の長打力は見せた一方で、打率では苦しみ後半戦はベンチを温める日も多い。昨季は10盗塁もマークし、パ・リーグの新人では37年ぶりの「2ケタ本塁打&2ケタ盗塁」を記録。オフには2年目の目標として「30本塁打&30盗塁」を強く掲げたが、8月10日時点で2本塁打、盗塁はゼロと目標にはほど遠い状況だ。
レギュラー獲りを期待されていた中での故障と手術により、想定していたものとは違う2年目にはなっているが、前を向く。「とりあえず試合に出ないといけない。まずは左(投手)のときは、しっかり打って信用してもらって使ってもらえるように。まず、それが第一」。もう一度、ルーキーのときのような気持ちで、飛躍を目指す。
写真=湯浅芳昭