
2年連続ファーム“2冠王”のリチャードだが、来季こそ殻を破れるか!?
またも一軍で結果を残すことができなかった。激しいクライマックスシリーズ進出争いをしていたころ、リチャードは10月7日に行われた
巨人とのファーム日本選手権(宮崎)に出場。2点を追う8回、左翼席への特大ソロ本塁打を放ち、チームの逆転日本一につなげた。そこまで3打数無安打、2三振。「いつも三振すると、負のらせん階段を下りていくので、割り切って『俺はカイル・シュワーバーだ』と。三振とホームランでいいやと思って割り切れたのが、あの結果につながったのかな」と笑った。
「鷹のロマン砲」とも呼ばれ、豪快な一発にはチームの期待も大きい。今季、ウエスタン・リーグでは19本塁打、56打点で2年連続の2冠。史上初の4年連続本塁打王とファームでは“無双状態”が続いている。しかし、一軍に上がると、打棒は鳴りをひそめる。今季は5度昇格したが、すぐに降格の“エレベーター”が繰り返された。「どれだけ二軍にいるんだよ、と。(二軍のタイトルは)いりません」と漏らした。
チームの課題となっている右の大砲候補で三塁のレギュラーを目指す。三塁争いでは
栗原陵矢に加え、後輩の
井上朋也も頭角を現した。今後の補強次第では、さらに立場が苦しくなる可能性すらある。夏場に降格した際には、当時、二軍監督を務めていた
小久保裕紀新監督から「一軍で通用しそうな雰囲気がやっと出てきたな」と声を掛けられた。「僕のイライラも受け止めてくれて、見ている人がいるんだなと思った」と感謝したリチャードが、新監督にバットで恩返しする。
写真=湯浅芳昭