
今季も安定感抜群のピッチングを披露している西勇
ベテランの域に入った
西勇輝の投球術は、年々レベルを上げている。今シーズン終盤に差し掛かって、防御率1点台の数字をキープしていることからもうかがえる。
8月26日現在、6勝4敗となかなか勝ち星は伸びないが、夏場も安定したピッチングを続けてきた。8月12日の
巨人戦(東京ドーム)は7回4安打1失点の好投だった。チームは敗れたが巨人打線を苦しめた。
この一戦では100イニング投球回にも到達した。プロ3年目から14年連続の大台達成。本人も「この世界で投げていくことが、いかに大変かが分かっている」と周囲に感謝の意を表した。さらに21日の
ヤクルト戦(京セラドーム)では
阪神通算50勝を達成。
オリックス時代にも74勝を挙げており、史上7人目の両リーグ50勝以上となった。
もともと制球力には定評があった。しかし、
岡田彰布監督が「コントロールが良過ぎるから絞りやすくなる」と語ったように、それが裏目に出るケースもあった。「コントロールが良いから、打者の狙いどおりにくると、それが厳しい球でも対応されてしまう」と、ストライクだけで勝負にいくと打ち返される傾向を指摘されていたのだ。
そこを西勇は左右の揺さぶりと巧みな投球術で、相手打者の狙いを外してきた。
シュート、スライダーなど変化球を自在に操って揺さぶりながら打たせて取るピッチングだ。
今シーズンの与死球は右打者に4個、左打者は1個。左右の被打率はほぼ同じだが、右打者には得意のシュートでえぐっていくことを示すもので、簡単に的を絞らせない。「とにかくイニングを投げることが自分の役割を果たすことだと思っている」と磨きのかかったマウンドさばきでアウトを積み重ねる。
写真=BBM