
与えられた役割をきっちりと果たしている
まさに覚醒したと言えるような内容だった。9月2日の
オリックス戦(
楽天モバイル)。8回から三番手でマウンドに上がった
藤平尚真が圧巻のピッチングを見せた。
まずは
森友哉を155キロの直球で見逃し三振。続く
西川龍馬はフルカウントまで粘られたが、153キロ直球で空振り三振。さらに
頓宮裕真も154キロのストレートで空振り三振に仕留めた。相手の中軸から三者連続三振を奪い、5対2の勝利に貢献。「(腕を)しっかりと振れば打たれないと思った」と手応えをにじませた。
横浜高を経て、2017年にドラフト1位で入団。高い潜在能力を持ち、先発ローテーションの柱として期待され続けてきたが、なかなか開花しなかった。昨季までの通算7シーズンで45試合に登板し10勝16敗。近年は投球フォームのマイナーチェンジを繰り返し、投球のテンポも速めるためロージンを触る回数を少なくするなど試行錯誤を続けてきた。それでも先発として思うような成績は残せず、今季からリリーフに転向した。
チーム事情もあって、初めての中継ぎに回った今季だが、9月22日時点で41試合に登板し18ホールド、防御率1.77。勝ちパターンの一角を任され、圧巻の成績を残している。これまで何度も繰り返してきた「戦力としてチームのために頑張りたい」という言葉を体現し、欠かせない戦力となった。
フォームの再現性が高まり、課題だった制球も安定。直球のキレが増したことで,豊富な変化球も生きている。逆転でのCS進出を目指すチームに貢献すべく、終盤戦も全力で打者に立ち向かう。
写真=BBM