スターと呼ばれる選手は、重圧を力に変える。秋広優人はプロ2年目の2022年から栄光の背番号「55」を背負う。球史に残るスラッガー、
松井秀喜氏が着けていた番号だ。
「松井さんのイメージが強いと思いますが、いずれは『55番は秋広』となれるように、努力して結果を出して、そう言ってもらえるように頑張りたい」
その思いを胸に飛躍を目指す。昨季はプロ初安打をマークして勢いに乗り、4試合連続本塁打などでブレーク。121試合に出場し打率.273、10本塁打、41打点の成績を残し、期待値は倍増。2月の宮崎春季キャンプでは臨時コーチを務めた松井氏からマンツーマン指導を受けた。
しかし、今季は打撃に迫力がなく、二軍暮らしも長かった。「毎年、結果を出すことがいかに難しいか身に染みて実感しています。ここを乗り越えないと」。シーズン終盤は代打で貴重な活躍を見せた試合もあるが、7試合ぶりに先発起用された9月16日の
中日戦(東京ドーム)では体勢を崩されたスイングで三飛、三ゴロ。指揮官は途中交代させ、「何の魅力も感じなかった。あんな『ちょこん』とうまくヒットを打ってくれだなんて、こっちは思っていない。そこをもっと理解してほしい」と愛のムチを入れ、二軍に降格させた。
身長2メートルの体に潜む可能性は無限大。ド派手に、大きく育て――。指揮官も、ファンも、同じ思いでいるだろう。
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