ようやくプロの第一歩を踏み出した。
26歳の2年目左腕、長谷部銀次は、7月21日の
阪神戦(甲子園)でプロ初登板。10点を追う7回からの登板ではあったが、1回無失点。
9月に一軍再昇格し、計5試合登板、7回無失点で今季を終えた。だが、その1年を「悔しかった」と振り返った。
2023年ドラフト6位と下位指名だったものの、即戦力として期待されてトヨタ自動車から入団。1年目は、一軍登板はなく、ウエスタン・リーグで39試合登板、防御率5.62と振るわなかった。
「僕はもう登板機会をもらって良しと思える年齢じゃない。1試合でも多く、チームの勝ちにつながる投球が求められる年齢。今年、そういった働きができなかった」
プロ初登板は出発点に過ぎない。そこに喜びはなかった。
1年目のオフに一度はサイドスローに転向したものの、再び腕の位置を上げるフォームに戻した。
「痛みが出たり、うまくいかない焦りもあった中で試行錯誤して今の形に行き着いた。サイドにしたことでツーシームの感覚をつかめましたし、無理のない投げ方を追求することもできた。すごく貴重ないい時間だった」
サイド転向は失敗ではなく、前進の過程と捉えて成長につなげた。
一軍を経験したことで、明確な課題も見えた。
「一軍の投手は狙って三振を取れる。そうじゃないと生き残っていけない。真っすぐの強さ、決め球を徹底的に磨くという部分をオフも継続して取り組んでいく。もう本当に、来年ダメだったら終わりぐらいの気持ち」
プロ野球人生をかけて、勝負の3年目に向かう。
写真=佐藤真一