何かやってくれそうな雰囲気を持っているのが若林楽人という男だ。6月末に
松原聖弥とのトレードで
西武から加入すると、すぐに見せ場が来た。
7月12日の
DeNA戦(東京ドーム)。先発出場から9回に左前へサヨナラ打。「プロの世界はやっぱり結果を出してみんなが認めてくれる。打って喜んでもらいたい」と、お立ち台でG党に顔と名前を売り込んだ。5月にも西武でサヨナラ打を放っており、同一シーズンに2球団でマークした史上初の選手となった。
さらに7月21日の
中日戦(バンテリン)では移籍後初本塁打を含む3打点。併殺になりそうな二ゴロを放った場面では快足を飛ばして併殺崩れに。阿部監督は「動物のように足が速い。僕だったら(塁間の)半分くらいでアウト」と感嘆した。
パンチ力のある打撃と俊足が魅力。指揮官が二軍監督だった時代から気になっていた選手の1人だといい、「ポテンシャルも素晴らしいし、独特な世界を持っている。なんかやってくれる、と期待感を持たせてくれる選手だと思ったので、西武とのトレードをさせてもらいました」と球団に要望したという。
優勝争いが佳境に入った9月に自然気胸を患うなど不運もあったが、「メディアもファンも数が多くて、やりがいを感じてやっています」と伝統球団の重圧も力に変え、来季こそ一軍完全定着を目指す。
写真=BBM