新天地で好アピールを続けているのが新加入の石川達也だ。宮崎キャンプでは一軍メンバーとして初めての実戦形式となったシート打撃で打者8人を相手に被安打1、5三振を奪う快投。持ち味の奪三振能力を見せ、「一度クビになって失うものはないという気持ち。野球自体を楽しめればいいかなと思って投げた結果が今日、良かった」と充実の表情を浮かべていた。
さらに沖縄入りしてからも2月18日の練習試合(那覇)で古巣の
DeNA相手に2回を2奪三振でパーフェクトに抑え、「自分でも驚くほど状態がいい」と笑顔を見せるなど、順調に調整を進めている。
横浜高では
楽天の
藤平尚真と同期で、2016年夏の甲子園に出場。法大から21年に育成ドラフト1位でDeNAに入団した。22年途中に支配下に昇格すると23年には中継ぎとして28試合に登板し、34三振を奪った実力者。昨季も15試合登板で防御率1.93を記録したものの、オフに戦力外となった。得意球のチェンジアップの精度が落ちていたというが、現在は「良かったときのチェンジアップに戻ってきた」と手応えを感じ取っている。
阿部慎之助監督は「先発も面白いかなって思うくらい、いろんな迷いが生じた。まあ、長い回を投げたことがないって言うから、中継ぎでやってもらおうかな」と4月に27歳となる左腕の加入を喜んでいる。
昨季、“守り勝つ野球”を掲げて4年ぶりのリーグ優勝を果たしたチームは、特にブルペンの層が厚い。「まずは開幕一軍が最初のゴールライン」と語る石川には、オープン戦でのさらなるアピールが求められる。無我夢中に腕を振る男は“吉報”を手繰り寄せることができるか。
写真=BBM