
トヨタ自動車の主将で四番・逢澤は1996年生まれ。関西高、明大を経て入社8年目で、存在感は増すばかりだ[写真=宮原和也]
トヨタの主将は日本の主将。アマチュア球界を代表する強打者が名実ともに、社会人野球の顔となった。
2024年のトヨタ自動車は夏に大きなターニングポイントが2つあった。一つ目は社会人野球のレジェンド・
佐竹功年(早大)が都市対抗を最後に現役引退。一つの時代が終わりを迎えた。二つ目は大会直後の8月に
逢澤崚介(明大)が
北村祥治(亜大)から主将の座を引き継いだこと。もちろんシーズン途中での主将交代は異例の事態だった。チームをまとめた逢澤は四番としてプレーでもけん引。Hondaとの社会人日本選手権の決勝では、初回に3点本塁打を放ちチームを日本一へと導いた。
実績も実力もキャプテンシーも文句なし。侍ジャパン社会人代表で指揮を執る川口朋保監督は、明大の後輩である逢澤を代表チームの主将に任命した。「トヨタのキャプテンをやっている姿を外から見ていて、本当にいいチームワークをつくっているなというのをすごく感じていたので、全日本に来てもやっぱり、同じような動きをやってくれるんではないかなというふうに思っていました」
指揮官自らトヨタ自動車のグラウンドに出向いて直接、大役を打診した。逢澤にとっても、それは予想していたことだった。
「前回も北村さんが代表のキャプテンをやられて、やっぱトヨタのキャプテンってそういったところでもやらないといけない立場だなっていうふうには感じていたので、任されたときはチームをまとめるためにも、初招集の選手が多かったのでコミュニケーションをしっかり取ることは意識していました。多分キャプテンにならなくてもそういったところは、意識してやっていたと思うんです」
周りを頼ること
四番・中堅、主将という立場はトヨタ自動車でも社会人日本代表でもまったく同じ。第31回BFAアジア選手権では6試合中5試合で安打をマーク、本塁打1本を含む6安打を放ち9打点をたたき出した。
「一、二、三番がずっとチャンスで回してくれていたんで、僕はやっぱいいところで自分のスイングを心掛けた結果がそういった結果になったのかなと思うので、自分自身は別に満足してないです。自分のやるべきことをしっかり整理して打席に立つというのは、代表の四番を打ったからかは分からないですけど、心の準備をして打席に入れるようになったのでそこは川口監督に感謝です」
頼れる四番の活躍もあり代表選手24人中14人が侍ジャパン初選出というチームは、アジア選手権連覇を達成。プレーと背中で引っ張った主将について川口監督は「上下関係なく、コミュニケーションをしっかり取ってチームをまとめる、本当に理想的なキャプテンでした」と賛辞を送った。
トヨタ自動車での主将就任からの1年を逢澤は「昨年のこの時期は自分が頑張んなきゃとか、そういうふうに感じていたんですけど、周りもやっぱり頼もしいんで、この1年で周りを頼ることが自分の成長したことかなと思います。若手を動かしてチームを良くするとか、そういったところができるようになったのは、レベルアップしたところかなっていうふうに思います」と振り返る。今年9月には、アジア競技大会が控える。代表選考は今後だが、トヨタ自動車の地元・愛知開催であり、発奮材料はそろっている。(取材・文=小中翔太)