入団時から目標としてきた「40歳」に到達してもなお、左腕は第一線で輝き続けた。今、見せる笑顔は、現役時代とは少し違う。やり切った充実感とともに第二の人生に向けた希望に満ちている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=幡原裕治、矢野寿明、湯浅芳昭、BBM 無理だったら引退 体に起き続けた異変
初めての時を過ごしている。和田毅が2024年シーズン限りで現役を引退すると発表したのが11月5日。それから1カ月がたってもイベントやテレビ収録、多方面にわたる取材など、引っ張りだこの“元レジェンド左腕”だが、「現役時代は今の時期、練習時間を確保しなきゃいけなかったので、そっちのほうが体的にもキツかったですね」とはにかむ。キャリアの終盤は度重なるケガにも悩まされてきただけに、体はやはり正直なようだ。 ──現役を引退して、やはり日々の生活は変わりましたか。
和田 もう練習をしていないですからね。現役時代はこの時期でも週4~5日、1日3~4時間は練習時間を確保していました。
──今は、練習はまったく、ですか。
和田 まったく、何もしていないです。本当は(引退を発表して)1カ月ぐらいたったら軽くトレーニングを始めたりしようかなとも思っていたんですけど、そんな気も起きない。むしろ、肩がちょっと痛いぐらいなので(笑)。体が動きたくないって言っているんですよ。体が拒否していますね(笑)。
──22年にわたる現役生活を終えたばかりですからね。
和田 いやー本当によく体がもってくれたなと思いますね。それが素直な感想です。
──引退の理由の一つとしても、体の状態を挙げていました。
和田 一番初めに(引退を)意識したのが18年。肩を痛めて1年間まともに投げることができませんでした。ケガというか、不調というか。それからは常に「無理だったら引退だな」と。ただ、そこからも5年以上もちましたからね。
──自分の中で「無理」というのはどういう状態?
和田 強い球が投げられないとか、体に痛みがあってキツいなとか、いろいろ理由はあると思いますが、特に今年は思いどおりに投げることができませんでした。膝のケガや、ギックリ腰をやったことも。引退を決めてからも肩が痛くなったり、そうそう、登板前日に高熱を出したこともありましたね(苦笑)。本当にさまざまな“問題”が出てきて、体が思いどおりに操作できないわけですよ。「今年でやめる」「そういう年なんだな」というのは、感じながらやっていました。25年、その先でしっかりと一軍で投げている姿というのが、自分の中であまりイメージを描けなかった。これ以上無理してやる必要があるのかな、というのが正直なところでしたね。
──引退会見では、7月にはやめることを決断していた、と。その後も筑後のファーム施設で調整を続けていましたが、そのときのモチベーションはどこにあったのでしょうか。
和田 もう最後なので、とりあえず最後の最後まで、悔いを残さずにできればいいなと。チームはずっと優勝に近い位置で戦っていましたし・・・
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