学校としても悲願の甲子園初出場をかけた3年夏の徳島大会は、無念の初戦敗退に終わった。本来の力を出し切れず、今後の進路を見据えて、手術を決断。育成選手としてプロの世界へ飛び込み、地道に這い上がっていくだけである。 取材・文・写真=喜岡桜 
一時は「ドラフト上位候補」と言われたが、3年春以降は苦しい時間を過ごした。すべては成長の糧になっている
1年秋に147キロを計測
「勝てるピッチャーを目指してきたので、支配下の選手になって、1勝でも多く勝てる投手になりたいです」
10月24日、
日本ハムから育成ドラフト1位指名された生光学園高・川勝空人は、うれし涙を拭い、そう意気込んだ。
身長180cm体重88kgのぶ厚い体から放たれる真っすぐは最速154キロをマークし、スライダーやスプリットにも自信がある。高校3年間で甲子園とは縁がなかったが、潜在能力の高さから一時は「ドラフト上位候補」とも称された。徳島、四国を代表する投手になった大阪府出身の剛腕は、入学時からダイヤモンドのような輝きを放っていたのだろうか。
幸島博之監督は、川勝が同校の水色のユニフォームに袖を通したばかりの3年前についてこう振り返る。
「とてもじゃないですが、高校野球ができる体形ではなかったです。好きなものばかり食べていたようですね。ウチに入学後しばらくは、みんなで走るメニューをしていても、川勝だけ50メートルも走れないような状態でした。途中で歩き始めてしまうんです。川勝の当時の性格上、指導者が怒ると絶対にダメになる。だから(私が)隣を走りながら、頑張れ! 頑張れ! と言ったこともあります」
すでに身長は177cm。だが・・・
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