徳島の県立高校・板野高時代から最速150キロを計測し、注目を集めた。プロ志望届は提出せず、社会人野球界へ進み、3年後に勝負する決意を固めた。大舞台における結果が求められる立場にある。 取材・文=豊島若菜、写真=政川慎治 
昨年は都市対抗、日本選手権とも出場を逃し、今年は大きなステージでの活躍を誓っている
森井絃斗には、心を揺さぶられた試合がある。2018年の都市対抗準々決勝。所属するセガサミーは同夏、創部以来初の4強入りを果たしている。準決勝進出をかけた三菱重工神戸・高砂との一戦をスタンドから見ていた高卒入社1年目の森井は、全身に鳥肌が立ったという。
「結果、優勝できませんでしたが、赤堀(
赤堀大智、元
DeNA)さんたちベテランが必死になってヘッドスライディングしている姿や、スタンドの応援に圧倒されました。社会人野球ってこんなにすごいんだ、と。自分の中ですべてが覆されました。自分が投げて、再びここに戻ってこようと、本気にさせてくれたゲームでした」
徳島県出身。小学2年から野球を始め、中学に入ると徳島中央シニアでプレー。当時、チームの総監督を務めていたのが、
広島、阪急で通算93勝を挙げた鳴門高出身の
白石静生氏だった。
「本当はキャッチャーがやりたかったんです。でも、白石さんはピッチャーが向いていると手取り足取り教えてくれた。白石さんに出会えたから、今の自分がいます」
森井の名が全国区となったのは、板野高3年春の徳島大会だ。小松島高との1回戦で150キロの大台突破。同夏は鳴門渦潮高との県大会決勝で敗退し、甲子園を逃したが、5試合で計44回を投げ、45奪三振と圧巻の投球を披露した。
NPBスカウトからも注目を浴びる存在も、プロ志望届は提出しなかった。その背景には・・・
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