入社1年目の昨季の公式戦登板は1試合。故障を経て、復帰マウンドを踏めたことが、勝負の2年目に向けて、大きな成果だった。2024年は都市対抗、社会人日本選手権の二大大会の出場に貢献する。 取材・文=上原伸一 写真=福地和男 
最大の持ち味は、腕を全力で振れること。打者への真っ向勝負を挑んでいく
生井惇己が強いこだわりを持っているのは、左腕から投げ込むストレートだ。
最速152キロ。小学生時代は100キロ程度で、特別目立った投手ではなかった。スピードアップしたのは、常総シニアに所属していた中学時代である。1年時に16キロ上がると、2年時に最速132キロを計測した。このころには県外の強豪校からも声がかかるようになり、135キロをマークした3年時にはかなりの数に及んだという。
なぜ2年間で32キロも上昇したのか?
「成長期で、体が大きくなったからだと思います。背はこの2年で10cm伸びました。あとは走り込みの成果かもしれません。学校では半ば強制的に陸上部の駅伝メンバーに加えられ、夏休みも毎朝、6キロくらい走っていたので」
慶應義塾高ではさらに7キロアップし、3年時はエースとして春、夏連続で甲子園にも出場した。だが「これで上げ止まりにすることなく、慶大ではもっと速いストレートを投げたいと思っていました」。成長を促したのが、高校の2学年先輩・
木澤尚文(現
ヤクルト)だった。
「木澤さんは向上心が旺盛で、トレーニングにも熱心でした。ウエート・トレーニングに関する知識も豊富だったので、教えてもらいながら、真剣に取り組みました。実は高校のときはウエートが苦手で、ほとんどやってなかったんです」
全身をくまなく強化した結果、体重が68kgから78kgに。筋量が増えたことがスピードの大幅増につながり、入学後3年間で・・・
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