奈良大付高は2015年春、18年夏に甲子園の土を踏んでいる。奈良は智弁学園高、天理高の2強が立ちはだかる中で、潜在能力の高い万能選手が注目されている。 取材・文・写真=沢井史 「正確に計ったことはないんですけれど……たぶん、100メートル……いや、120メートルくらいは投げられると思います」
遠投の数値について聞くと、岸本佑也は遠慮がちに話す。強肩を生かしたショートの守備力、最速147キロの速球を武器とする本格派右腕として、今春から一気にNPBスカウトから熱視線を浴びる存在になった。
岸本のキャラクターについて奈良大付高・田中一訓監督はこう明かす。
「どこか、自信がないというか……。もともと、気持ちを前面に出さないほうなんです。入学したときは目立った存在ではなかったですが、ご飯をよく食べ、体重を増やし、努力を重ねてきました。それでも、自分なんてプロは無理と思っているみたいで……。でも、今まで長く指導してきて、あれだけ肩が強い選手は見たことがないです。三遊間から矢のような送球と、ロングを打たれたときの返球のコントロールの良さは、大きな武器。勉強が苦手でも得意でもないほうなので、進路の話をしたときに、一つのこと(野球)に一生懸命になってみたら、とプロを目指すことを促したんです」
中学時代は実績がなく「自宅から通える学校だったから」と、自ら奈良大付高の門をたたいた。1年間は表舞台に立つことはなかったが、肩の強さを見抜いた田中監督が、昨春の県大会後に投手の練習をすることを勧めた。小学校時代、投手経験が少しあったのと「興味はあった」と自身も意欲的に取り組むと・・・
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