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野球浪漫2023

ヤクルト・石山泰稚 こだわりを捨てて「新しい武器を増やしていければもっと戦えるんじゃないかって」

 

入団から11年間で490試合に登板。リリーバーとして確かな地位を築いてきた。しかし、近年は納得いくシーズンを過ごせず。夢見たプロの世界で確かな足跡を残すためにも、右腕は35歳にしてスタイルチェンジを決断した。
文=菊田康彦(スポーツライター) 写真=桜井ひとし、BBM


このままではいけない


「すごく苦しいシーズンでした。本当にいろいろ考えさせられたシーズンだったなっていうのは、すごく思います」

 その言葉のとおり、2023年は石山泰稚にとって苦渋に満ちた1年になった。

 スタートは悪くなかった。球団史上初のセ・リーグ3連覇を目指したヤクルトは、球団新記録の開幕5連勝をマークするなど4月半ばまで首位をキープ。石山もその間は「7回の男」として登板6試合で2勝4ホールド、失点ゼロと、むしろ絶好調と言ってよかった。

「出だしとしては、本当に思い描いた感じで入れたっていうのはありましたね。その後ちょっと体調を崩して、そこから戻すのに時間がかかってしまって……」

 5月10日の阪神戦(甲子園)でも3点リードの7回に三番手として登板し、無失点に抑えて登板16試合目で早くも11個目のホールドを手にする。これで通算ホールド数は、球団史上4人目となる「100」の大台に到達した。

 ところが直後の5月12日に、体調不良により「特例2023」で登録抹消。4日後には戦列に復帰するが、それ以前のようなピッチングはできなくなっていた。

「体調不良で1回抹消されて、すぐ投げたんですけど『なんか本調子じゃないな』っていうのがあって。それで再調整で(二軍に)落ちて、そこからまた(一軍に)上がったんですけど、なかなか思うような成績を挙げられずズルズルいってしまった形です」

 5月23日に再び登録を抹消され、3週間の再調整を経て一軍復帰。6月24日から球宴明けの7月22日にかけては7試合連続無失点を記録するも、25日の広島戦(マツダ広島)、27日の同戦と2試合続けて勝ち越しを許し、いずれも負け投手になってしまう。

「調子が戻らなかったのか、それとも相手にはもう全部(自分の)データが入ってるのか。今までのようにやっていたらいけないのかなっていうのは、すごく思いました」

 変わらないといけない──。そう感じたのはこれが初めてではない・・・

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