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楽天・堀内謙伍 不屈の10年目「バッティングは二の次というのは甘え。野手と同じくらいに打てないとレギュラーにはなれない」

 

開幕間もない4月半ば、突如として正捕手に名乗りを上げた。その一番の売りが打撃である。プロ入り直後からケガに泣かされ、キャリアハイの2019年からがまた、長かった。しかし、理想とする“打てる捕手”への土台はできつつある。
文=田口元義(フリーライター) 写真=桜井ひとし、湯浅芳明、井沢雄一郎、BBM


安定感をもたらすもの


 変化は数字に表れている。

 58打数18安打。打率にして3割1分という高い打率を維持し、楽天の堀内謙伍が打席に立つ。

 それは5月16日のソフトバンク戦(みずほPayPay)、6回の第3打席で訪れた。

 有原航平の初球、真ん中からやや低めに曲がるカットボールを鋭くすくい上げた打球が、弾丸ライナーでライトテラス席に突き刺さる。

 プロ10年目にして初めてとなるホームランを放った堀内が飛び跳ねる。三塁側ベンチで出迎えるチームメートと、踊るようにハイタッチを交わしていった。

「なんとかバットに当たってよかったです」

 コメントこそ控え目だが、短い文面にも喜びがにじみ出ていた。

 今シーズンは開幕こそ二軍スタートだったが、一軍に昇格してから自己最多の出場を記録できた大きな理由に、バッティングの安定感がある。

 シーズン序盤に3割を超えていた打率は、終盤こそ2割台にまで下がったが、内容は悪くない。例えば、無死または一死二塁でセカンドゴロを打ち走者を三塁へ進塁させるといったように、結果としてヒットにならずともチームバッティングを実現できるようになった。

 堀内が納得するようにうなずく。

「ずっとファームで取り組んできた、ケースバッティングがしっかりできるようになったというか。『ここはゴロを打たないといけない』とか『ランナーをかえさないといけない』とか、自分がアウトになったとしてもそういうことを頭に入れながら打席に立てるようになりました。それがたまたま、いいところに転がったり落ちたりしてヒットになって」

 自らのパフォーマンスを説明してから、堀内が再び「たまたまっす」と言い、にやける。

 謙遜か照れ隠しか。いずれにせよ、グラウンドでの堀内の体現は、決して「たまたま」ではない。

 支えとなるのは血肉だ。

 10年間の雌伏が堀内を内面から強くし、そして飛躍へとつなげている。

 打てるキャッチャー。

 堀内は28歳にして、かつての持ち味を発揮し始めている。

 10年前。高校生だった堀内は世代を代表するキャッチャーだった。

 静岡高では1年秋からレギュラーとなり、2年夏から3季連続で甲子園に出場した。3年生の2015年にU-18ワールドカップの日本代表に選出され、16打数7安打の打率.438、5打点をたたき出してチームの準優勝に貢献。キャッチャーのベストナインにあたるオールスターチームにも選出された。

 高校通算14本塁打に加え、キャッチャーとしても正確なスローイングを誇り、50メートル6秒2と脚もある。世界でも世代トップクラスであることを証明した堀内が、15年のドラフトで楽天から4位指名されプロ入りしたのは、当然と言えば当然だった。

 しかし「将来の正捕手候補」と呼ばれた俊秀のプレーヤーは・・・

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