父はガーナ人、母は日本人のハーフとして生まれた。だが、ブライト健太は「ハーフではなくダブル」と言う。ジャッキー・ロビンソンにあこがれる竜の背番号42。4年目の今シーズンは代打として大きな存在感を示したが、狙うはもちろんレギュラー。そのためには打つしかない。 文=土屋善文(中日スポーツ) 写真=BBM、Getty Images 
中日・ブライト健太
師匠からの教え
1月の沖縄。暖かく生ぬるい風が、体にまとわりつく。本州で冷え切った体が緩むのと裏腹に、プロ野球選手にとっては春季キャンプに向けて徐々に緊張感が増してくる時期だ。
とある一軒家にブライト健太はいた。練習でクタクタになったあとの、連日の野球談議。いや、野球講義と言ったほうが正確だろうか。ブライトがうなずく先には
中田翔がいた。
「本当に勉強になりました。翔さんはトレーニングもめちゃくちゃするけど、やっぱりこれだけ考えながらやっているんだなというのも身に染みて分かりました」 中田の自主トレに“弟子入り”を志願したのは、その数カ月前のこと。
「もともとは一人でやられる予定だったみたいなんですけど、オッケーしてもらって」 中田が借りた一軒家に、ブライト、川上理偉、
加藤竜馬、シーズン途中に
ソフトバンクに移籍することになる
巨人の
秋広優人が住み込み、合宿生活が始まった。昼間のハードなトレーニングはもちろん、準備の仕方、打席での心構え、配球の読み方、酸いも甘いも経験してきたスラッガーの生の言葉がいちいち響く。
大切──として教えられた一つが打席でのカウントのつくり方だった。
8月30日の
DeNA戦(横浜)。5対5で迎えた延長11回表。一死満塁の場面でブライト健太は代打で登場した。
「四球狙いでは、バットが出ない。行くしかない」 フルカウントから外寄りの145キロのシュートを振り抜くと打球は右中間へ。勝ち越しの3点適時二塁打となり、二塁上で喜びを爆発させた。
今季、ドラゴンズで「代打の切り札」と呼ばれるようになった。58度起用され、51打数13安打、1本塁打12打点、7四死球で打率.255。もちろん目指していたのはレギュラー。だからシーズンを終えても
「悔しい」が先に来る。しかし、4年目にしてプロ野球選手として確かな一歩を踏み出したのも事実だ。少ないチャンスで幾度となく存在感を示し、試合展開を変えてきた。
「割り切れるようになったのが大きいですね。データも今まで以上に見るようになったし、配球も考えるようになった。それでもやっぱり割り切りですね。代打で1打席行って、いつも打てるほど甘い世界じゃない。その割り切りができるようになりました。逃げ道をつくれるようになった。打てなくても仕方ないなと。だって待ってない球が来たらよくてファウルですからね。全部の球種を待てるわけではないし」 それは試合中の準備にも現れる。
「代打のときはバットを1回も振らなくて良いくらいの感覚」と言う。出番が来るのはナイターなら午後8時以降がほとんど。ホームなら午後2時から、ビジターなら同4時から全体練習をこなしている。
「打撃練習も終えてますからね。ストレッチとか、ほかのこともしているし、体は動かしている。なので試合が始まってからそんなにバットを振らなくても初球から振れる体はできている」 いつ来るか分からない出番に向け・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン