ルーキーとは思えぬ高い対応力。ウエスタン・リーグ開幕から快音を響かせ続け、一気に2ケタ背番号をつかみ取った。打撃センスにとどまらず、磨くほどに魅力があふれてくる。 取材・構成=菅原梨恵 写真=井沢雄一郎、BBM 
佐藤啓介[内野手/1年目/23歳]
開幕から1カ月を経ても打率4割超えだったルーキーに、周囲からは支配下昇格を望む声が多く上がった。6月7日に背番号が124から「94」へと変わり、9日にはプロ初出場初スタメン。5試合で二軍降格とはなったが、新たなスタートを切った。 ──ルーキーシーズンが始まって3カ月足らずで支配下昇格、そして一軍デビューも果たしました。
佐藤 ドラフトのときには「どれぐらいかかるかな。1年やってみて、オフに(支配下)契約してもらえればいいかな」という思いでした。でも、シーズンが始まってからは、いつ支配下になってもいいように準備してきた。まずは自分の地力をつけること、将来、活躍するために今、何をしなければいけないかというところを考えてずっとやってきました。
──育成選手としての入団にはドラフト指名直後、「支配下を目指していたので悔しい気持ちと、指名をしてもらえてうれしい気持ちの半々」と語っていました。
佐藤 悔しい……ニュアンスがちょっと難しくて。ドラフト会議までに自分の実力を上げ切れなかったことへの悔しさですね。それはありました。ただ、育成選手だからといって、野球を始めたときからやってきたことというのは変わらない。野球への向き合い方など、そこは変えずにプロでもやってきています。
──支配下昇格が決まったときは、どんな気持ちでしたか。
佐藤 うれしい気持ちももちろんありましたが、それよりは気が引き締まるというか。これからようやくスタートラインに立ったなという気持ちで、しっかりやっていく必要があるなと思いました。
──開幕から素晴らしい活躍を見せ、3、4月は打率(.416)、出塁率(.505)、長打率(.519)、得点圏打率(.467)でリーグトップの好成績を収めて月間MVPを獲得。17試合連続安打もありました。ここまで打てた要因は?
佐藤 初めてのことばかりで分からないことが多かったんですけど、「こうしたらいい結果が出るんじゃないかな」と予想したものが、たまたまハマったというか。自分の実力というよりも、試したことがうまくいったという印象でした。それこそ、指名されてからここ(
広島)に来るまでは、ずっと卒論が忙しかったんです(苦笑)。全然、野球をやれていなかったので、合同自主トレから再スタートした感じで。ただ、積み上げがなかった分、1、2、3月でいろいろと、出てきた課題と向き合ってやってこられた。それをどう解決していくかというところが、たまたまハマった感じなんですよね。
──今の自身の一番の持ち味、武器というところは?
佐藤 ドラフトで指名されたときは、やっぱり長打力を求められていたと思っていますが、プロに入ってからプロのボールに対応するために、なかなかその部分が出なくて。逆にコンタクト能力は上がってきていると思うので、今はそこと選球眼が一番の武器なんじゃないかなと思いますね。ただ、長打も、両方を追い求めていきたい。確率も上げた上で、長打も打つ。そのバランスを常に考えているんですけど、なかなか難しいですね(苦笑)。
──プロのボールにもしっかりと対応できていますが、アマチュア時代との違いは感じませんか。
佐藤 明らかにレベルが違います。ただ、それは大学の時点で分かってはいたので。あとは・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン