神奈川で夏の主役に躍り出る能力を持つ安里
春季神奈川県大会は4月29日、準々決勝2試合が行われ、第1試合で東海大相模高が橘学苑高に5回
コールドで快勝(13対3)して、準決勝進出を決めた。
東海大相模高は第1シードを獲得したが、心強い3年生サウスポーが復活を印象づけた。
142キロ左腕・安里海(あさと・うみ)が5回3安打3失点で勝利投手。2回までは打者6人をパーフェクトに抑えるも、3回裏に3安打を集中され3点を先制される。だが、打線が4回表に打者16人の猛攻で11点を挙げるビッグニング。完全に主導権を握った。
味方の大量リードで楽になった安里は4回以降立ち直り、走者すら許さなかった。つまり、3回を除いては、完璧な投球を見せたのである。打者19人から9奪三振も「取りにいく意識はない。腕を振って、コースに投げ込んでいる」と、得意のスライダーにもキレがあった。
2年秋以降、左ヒジを痛めて、スロー調整を余儀なくされた。冬場はじっくりと治療と強化に専念。このオフの期間にツーシームを覚えて、投球の幅を広げたという。
「フォークを投げていたんですが、あまり良い感触ではなくて……。腕を振って投げるようにしたら今の形になった」
今春は横浜商大高との3回戦で初登板し、この準決勝に照準を合わせてきた。
沖縄出身。「もともと県外でやりたいと思った。門馬(敬治)監督が沖縄に見に来て『日本一を狙う気持ちがあるなら来い!』と。それで決めました」。東海大相模高は2015年夏に甲子園で全国制覇を遂げているが、安里は当時1年生。2学年上の先輩には
小笠原慎之介(現
中日)がいた。
「あこがれであり、目標でもある。見習っていることばかりです。ゲームでは『気持ちで押していけ!』というアドバイスが心に残っています」
門馬監督は「(3回の)最初のセットポジションの局面で対応していたか」と課題を口にしたが「(試合直後の)ミーティングでこちらが言わなくても、会話として出てきた。ステージは一歩、上がっている」と」評価した。
ノーワインドアップからテンポ良く投げ込んでくる安里。「神奈川・夏の主役」に躍り出る可能性は十分ある。
写真=BBM