プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 ズラリと並ぶ左右の巧打者
首位打者を経験した左右のアベレージヒッターが並ぶ1972年に生まれた世代。左打者の筆頭は通算2167安打の稲葉篤紀だ。
ヤクルトからFA移籍した北海道移転後の日本ハムで2007年に首位打者となり、精神的支柱としてもチームを支えた。17年から侍ジャパンの監督として世界一奪還を目指す。
西武時代の05年に首位打者となり、通算2050安打を残した
和田一浩が右打者の筆頭。巧打に強打を兼ね備え、通算319本塁打は世代トップで、通算261本塁打の稲葉とともに、左右で強力クリーンアップを形成することになりそう。ともに通算1000打点もクリアしており、勝負強さも抜群だ。
【1972年生まれのベストナイン】(1972年4月2日~73年4月1日生まれ)
投手
西口文也(西武)
捕手
北川博敏(近鉄ほか)
一塁手 稲葉篤紀(日本ハムほか)
二塁手
高木浩之(西武)
三塁手
グレッグ・ラロッカ(
オリックスほか)
遊撃手
木村拓也(
広島ほか)
外野手
谷佳知(オリックスほか)
村松有人(
ソフトバンクほか)
鈴木尚典(横浜)
指名打者 和田一浩(
中日ほか)
横浜“マシンガン打線”の三番打者として97年から2年連続で首位打者に輝いたのが外野にいる左打者の鈴木尚典(鈴木尚)。同じく外野の村松有人も左打者で、通算270盗塁を残した韋駄天でもある。残る外野の1人は、惜しくも通算2000安打には届かなかったが、プロ野球記録のシーズン52二塁打を放った右打者の谷佳知だ。村松、谷はリードオフマンとしても適任。三番から鈴木、和田、稲葉と左右を交互に並べれば、相手チームにとっては厄介な打線となりそうだ。
同世代版“JFK”
内野の巧打者は堅守も光る。西武の正二塁手として97年からの連覇に貢献したのが二塁にいる左打者の高木浩之。三塁は3チームで攻守に活躍した右打者のラロッカだ。
遊撃にいるスイッチヒッターの木村拓也は名ユーティリティー。捕手には01年に史上唯一の代打逆転サヨナラ満塁“優勝決定”本塁打を放った北川博敏を据えたが、指名打者の和田と、
巨人時代には“ピンチキャッチャー”を務めたこともある木村は捕手出身。08年に首位打者となった右打者のリック(
楽天ほか)も同世代で、内野守備にも安定感があるから、和田や木村を捕手として起用し、北川は代打の切り札として温存、優勝決定戦の9回裏、満塁を迎えたら打席に送るのもおもしろい。
ノーヒットノーランを逃すこと3度、通算200勝にも届かなかったが、長く西武を支え続けた右腕エースの西口文也が、この世代でも不動のエースだ。クローザーの最有力候補はウィリアムス(阪神)になるだろう。
久保田智之、
藤川球児、
ジェフ・ウィリアムスで救援陣“JFK”を形成した助っ人左腕。この世代は先発タイプよりもリリーバーが充実しているのが特徴的で、同世代だけで新たに“JFK”を編成することも可能だ。
“F”は通算600試合に登板した左腕の
藤田宗一(
ロッテほか)。“K”は
川村丈夫(横浜)で、04年に救援陣“クアトロK”の一角を担った右腕だ。一方の先発陣は手薄。そこで先発でも計算できる川村ではなく、02年に29セーブをマークした右腕の
河原純一(巨人)を“K”としてもいいだろう。
巧打に強打、機動力に堅守と、野手の安定感も抜群。打線に切れ目はないと言えるだろう。鈴木のいた横浜の“マシンガン打線”も、この世代だけで再現できそうだ。
写真=BBM